MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「俺、史郎さんに言った言葉、あれ、自分に言ったようなもんだったんだ。俺はあの時、彼女と別れ話で揉めていたときで」
「え? そうだったの?」
私が驚いて体を動かすと、鈴木は少しだけ抱きしめる手に力を入れた。
「ごめん、もう少しこのまま……。俺、鈴木に気持ちが動いていて、彼女をこれ以上大切にできないと思った。それと同時に、史郎さんのように鈴木を友達として大切にするのも無理だと思った。友達じゃ、こういうことできないしね」
「鈴木……」
鈴木の体温は私より高いようだ。ファーストキスのあの日も思ったが、温かくてなんだか心地よい。
「あの、さ」
鈴木が一度私を離して、肩に手を置いたまま私を見つめた。
「うん?」
「少しずつでいいから。だから俺のこと好きになってもらいたい。男として見てもらいたい」
泣きそうな目で言われて私は切なくなった。
「そんな目されると困っちゃうよ。あの日から鈴木は男なんだってちゃんと分かってるから」
私は自分の心音が早くなっているのが分かった。なんだろう。どきどきしているのかな、私。鈴木相手に。
「鈴木」
鈴木の声に、
「うん?」
と返して、彼の目を見つめて、どきりとした。鈴木の瞳には私しか映っていなくて、そしてその眼には愛おしさが溢れていたから。
「鈴木」
「さっきから何?」
恥ずかしくなって思わず目を反らした。口調も素っ気なくなる。
「ちゃんとしたキスしたい。ダメ? あの日は無理矢理したから……」
鈴木の言葉に私の心臓が跳ねる。私は少し迷って、
「……いいよ」
と返事をした。