MR(医薬情報担当者)だって恋します!
ただ、いいことばかりではない気もする。
以前は気にならなかったことが気になるようになってしまった。
どこにいてもついつい鈴木を探してしまう。周りに気づかれないようにしないとと思って誤魔化してはいるけれど、自分は誤魔化せない。橘先生を追っていた目が確実に鈴木を追うようになっているのだ。同時に鈴木が女医と話しているのを見ると嫌な気持ちになるのにも気が付いた。以前は全く平気だったのに。
鈴木は外見がいいし、若くてもの腰が柔らかいので女性ドクターたちに人気がある。鈴木から声をかけなくても声をかけられているのをよく見る。鈴木が上手くかわしながら営業だけをしているのは分かっているけれど、それでも面白くない。となると、鈴木はもっとこんな気持ちを持て余しているんだろうか。男性のドクターは女性のドクターに比べてかなり多いのだから。
それに片想いとやっぱり違うと感じている。橘先生は好きになったときから妻帯者だと分かっていたので、諦めに似た気持ちもあったのか、そこまで嫉妬はしなかった。
でも、鈴木の場合は鈴木から告白されたというのもあって、自分を誰より好きでいてほしいというやっかいな気持ちが付きまとう。私ってこんなに我儘な女だったのかなと時々不安になる。そして、自分で思っている以上に鈴木のことを好きになっていることにも驚く。
「ダメだなあ」
ため息とともに声が出て、通りかかった谷口先生に、
「何が駄目なんだい?」
と訊かれてしまった。