MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「いえ、なんというか、自分の気持ちを持て余しているという感じで……」

 と答えてしまい、

「鈴木さんは恋をしているのかな?」

 と言われてしまった。

「いえ、その。もっと処方が欲しいなと思ってしまうのです」

 と慌てて言う。

「処方か……。エクサシールは順調に出ていると思うけどねえ。鈴木さんは真面目に営業に来ているしね」
「ありがとうございます。でも今以上にと思ってしまうのですよ。欲張りですね、人間て」

 私の言葉に谷口先生も笑った。

「確かに人間は欲張りだね。まあ、もっと処方を増やす手立てを考えてみてごらん。若手のドクターにも積極的に声掛けして」
「はい。ありがとうございます」
「それじゃ。あ、そうだ。夏目さんを見なかったかい?」

 谷口先生の言葉に私は少し考えて、

「いえ、今日は見ていないです」

 と答えた。

「そしたら、見かけたらでいいから、僕が探していたと声をかけてくれる?」
「分かりました」
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