MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「今日は薬の話はやめときましょう。最近オススメの曲などありますか?」

 沢野先生はちょっと疲れた顔でそう言った。

「私はリベラという少年だけの合唱団と、アンサンブルプラネタという女性のアカペラのグループが好きです。とても綺麗な声で癒されるんです」
「CDを借りてもいいですか?」
「勿論です! 持ってきますね。あの、先生は何かお困りごとでもあられるのですか?」
「そう、見えますか?」

 沢野先生はらしくない苦い笑みを見せた。

「実は見合いを勧められていまして。でも僕はまだそんな気には……」

 そう言って沢野先生は顎に手を当て考える素振りをみせた。しばらく思案して、沢野先生は私を見た。

「あの、鈴木さん。恋人の役を演じてもらう訳にはいかないですよね? 両親に会ってもらうだけでいいんです」

 私は戸惑う。私としては沢野先生の力になりたい。でも、鈴木はどう思うだろうか。私が逆の立場だったら嫌だ。

「えっと、それはいつですか?」
「今週の土曜日です」
「少し考える時間をください。明後日までには返事します」
「分かりました。無理されないでいいですからね?」
「はい」
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