MR(医薬情報担当者)だって恋します!
橘先生に診てもらう。
それを考えるとなんだか営業中もぼうっとしてしまう。
「おはよ。ぼんやりして、大丈夫? 熱あるんじゃない?」
階段で鈴木とすれ違った。
「あ、うん。熱はないと思うんだけれど」
「ずっと咳してるだろ? 肺炎だったら厄介だよ?」
「うん。だから今日、診てもらうんだ」
「え?」
「橘先生に」
鈴木は一瞬黒目を揺らした。
「……へえ。まあ……、それもいいかもね」
「うん。でも、なんだか別の意味で緊張しちゃって」
「それでぼーっとしてるのか」
納得したように鈴木が言った。
「べ、別に、橘先生の腕を疑ってるとかじゃないんだけど。一応、女だから、知ってる先生に聴診器をあてられるというのがなんか、ね」
「……まあ、それは確かに。早く治るといいね」
微妙な顔をしながら鈴木は言って、階段を下りて行こうとして止まった。
「じゃあ、12時頃まで大学にいるの?」
「そう。また変なことされないように気をつけて」
念を押すように鈴木が言った。
「うん。ありがと。今野さんもいてくれるし、先生方いなくなったら、下のカフェにでもいるよ」
「じゃ」