MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「鈴木さん?」
「あ、いえ。すみません。ちょっと考え事を……」
「鈴木さんはこの後何か予定がありますか?」
てっきり昼食を一緒に食べるのかと思っていたので、時間があると言えばある。鈴木のアパートに行くことになっているけれど、それは言えないし……。
「僕のうちにピアノがあるんです。最近弾いていないんじゃないですか? もしよかったら、弾きに来ませんか?」
私は返答に困った。一人暮らしの男性の部屋に彼氏がいるのに行くのはどうなのだろう。
でも、ここで断ったら、沢野先生のことを信頼していないことになるし、自意識過剰かもしれない。
私はもう一度沢野先生の顔を見た。沢野先生は首を傾げて笑っている。
私は、
「では少しお邪魔させていただきます」
と答えた。