MR(医薬情報担当者)だって恋します!
沢野先生のマンションはあまりにも広すぎて落ち着かなかったけれど、ワンルームの鈴木の部屋には親近感を覚える。部屋は私の部屋より綺麗にしてあった。
「さて、今日のこと聞かせてもらおうかな」
鈴木は麦茶を入れてくれて、テーブルに置いた。
私と鈴木はベッドを背にして二人で並んで座る。私は鈴木の胸に自分の頭をぴとりとくっつけた。
「どうかしたの?」
「……色々あって疲れた」
「色々?」
「うん」
私は麦茶を一口飲んで、今日の出来事を話し出す。
「へえ。沢野先生、両親に鈴木のことMRってちゃんと言ったんだね」
「うん。沢野先生のご両親はそれでかなり嫌そうだったけど」
「まあ、医者とMR。なくはないけど、親からすれば医者同士がいいのかもな」
「うん」
「でも、昼ごはんそこで食べなかったなら、沢野先生と食べたの?」
鈴木の質問に、私はふぅとため息が出た。話さなきゃ行けないけど、鈴木、怒るだろうなあ。
「それ、浮気だから」
沢野先生の部屋に行ったことを話すと、冷たい鈴木の言葉が私を叩いた。
「部屋に二人きりとか絶対駄目でしょ」
鈴木は本気で怒ってる。私は、
「ごめん。でも、さらにごめん」
と謝る。
「さらにって、何?」
鈴木の声がますます低くなる。
私は意を決して、あったことを話した。
鈴木はかなり複雑そうな顔をした。
「う~、沢野の奴! 未遂で良かった」
そう言って鈴木は私をぎゅーっと抱きしめた。
「ほんと、何もなかったから言えることだけど、沢野先生の気持ちも分からなくはない」
鈴木はそう言った。
「好きな人と部屋に二人きりなら期待するし、手は出したいよな」
「私が軽率だった。本当にごめん。沢野先生にも悪いことした」
「ほんと。もう、絶対男と二人きりにはならないで」
鈴木は私の目を真っ直ぐに見て言った。
「うん。営業のときは無理だけど」
私も鈴木の目を見つめて返事する。
鈴木は私をもう一度抱きしめて、
「はあ。まじで、理緒が無事でよかった」
とまた繰り返した。
「でも、それで鈴木とのことバレちゃったよ」
「沢野先生は他の人に言わないでしょ、多分。それに俺的にはバレて良かった。けん制になる」
「まあ、そうなのかな。沢野先生、もう諦めるって言ってくださったし」
私の言葉に鈴木は安堵のため息を漏らした。
「一つ俺の心配が減ったな」
「でもね」
「何、まだあんの?」
げんなりした鈴木に私は沢野先生と友人になったことを話した。