MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「まあ、正直に言うと、他の製薬会社との付き合いもあるからね」
「最近は講演会や自主臨床研究にシフトしてきたとはいえ、女性MRは接待がしにくいので、なかなか他社のようにはいきません。
私たちMRには何の力もないのでしょうか? ……私のしてることは無意味なのでしょうか?」
最近ずっと考えていたことが言葉として出て、私ははっと口を押えた。沢野先生は目を瞬かせた。
「そんなこと考えていたの? 道理で元気がないわけだ。 鈴木さんが頑張ってるのはどの先生も分かってるよ? だから鈴木さんが営業に来て声をかけてくると、今日もエクサシールを処方しようかなと思う。鈴木さんが営業に来なくなったら間違いなく処方は減ると思うよ」
沢野先生はそう言って私の目を見た。その目は嘘を言っているような目ではなかった。
「ありがとうございます……」
私は思わず泣きそうになりながらそう答えた。そんな私に、沢野先生はふむと考えるしぐさをして、口を開いた。
「女性のMRはこの大学では少ないから、色々悩むこともあるのかな。えっと、確か、クラウス社さんに女性のMRさんがいたよね?」
「あ、はい。夏目さん」
「相談してみるのもいいかもしれないよ?」
「はい……。ありがとうございました」
私は深く頭を下げて沢野先生の部屋からエレベーターホールに出ると、今野さんが3階にちょうど来るところだった。