MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「そんな顔しないで。それより、鈴木さんこそ大丈夫なの? 例の先生って沢野先生?」
「え?」

 突然沢野先生の名前が出てきたことに私は面食らった。

「あら、違うの? 沢野先生のところに長居してるって他社MRが言ってたから」
「いえ、沢野先生は違います」
「そうなの? まあ、深くは聞かないわ。ふう。なんだか全て話したら少しすっきりした。嫌な話を聞かせてしまったわね。ごめんなさい」
「いえ、そんな」
「私は私で頑張るだけだから、鈴木さんは今までと同じように頑張ってね。……谷口先生にも」

 夏目さんは言ったけれど、私は頷くことができなかった。

「だから、貴女がそんな顔しちゃだめって。さ。帰ってしっかり寝てね。私も帰るわ」

 夏目さんの言葉に私は車のドアを開けた。

「夏目さん、私にできることがあったら言ってくださいね。お疲れ様でした」

 夏目さんは片手を上げると車を出した。私はそれを見送った。
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