MR(医薬情報担当者)だって恋します!


「そう、だよね」
「それより、また、って何?」
「え?」

 司の声の調子に私は司を振り返って見る。真剣な眼差しがあった。

「理緒は失敗してばかりだと思ってるってこと?」

 私は司の言葉に沈黙した。

「理緒が何を失敗してきたかは分からないけどさ。失敗ってそんなに悪いことかな?」

 司が考え込むようにして言った。

「え?」
「人間なんだから失敗くらい誰でもするよ」
「失敗、してもいいの?」

 私は目を見開いて司を見る。

「失敗しない方が無理でしょ」 

 私は司から一度視線を自分の手に戻した。司の手のひらに包まれている私の手はやや汗ばんでいた。
 失敗しない方が無理……。
 そう、なんだろうか。失敗ってしてもいいものなのだろうか。
 今まで私は色々な失敗をしてきた。小さな失敗でも母や兄には罵られ、私自身が「失敗作」だと言われ続けた。
 いつの間にか思うようになっていた。私は失敗ばかり。この家に生まれたのも失敗。なかなか同性の友人を作れないのも失敗。この会社に就職したのも失敗。塩屋先生を怒らせたのも失敗。谷口先生を辞めさせたのも失敗。数えればキリがない。

「理緒?」 

 司が私の目をまた覗き込んだ。

「思い出してるの? 失敗したことを」

 私は黙って頷いた。

「でも、失敗して、理緒はそのあとどうだった?」
「え?」

 そのあと……?
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