MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「理緒。風邪治ったみたいだね。よかった」
支店ですれ違った香澄が言ってきた。
「うん。担当大学のドクターに診てもらったんだ」
「え? そうなの?」
香澄が驚いたように私の顔を見た。
「恥ずかしくなかった?」
「恥ずかしかったよ。でも、ちゃんと患者としてその時は見てくれて、おかげで風邪も治って本当によかったよ」
「私は担当先のドクターにお世話になるのはちょっと無理かな。そのあと、そのドクターと気まずくなってない?」
「え? 特には」
「そう。ならいいけど」
首を傾げた私の肩をぽんと叩いて、香澄は自分の席に戻っていった。
まあ、橘先生に診察されたことを他のMRやドクターが知って、何か言ってきたなら嫌な思いをするかもしれないけれど、まったくそんなことはなかった。
気まずくなるどころか、私は逆に橘先生に親近感がわいて、よく営業の言葉をかけるようになった。