MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「土曜は鈴木とゲームしたのか?」
いきなり違う話を振られて、私は「へ?」と素っ頓狂な声を上げた。
「あ、はい」
「じゃあ、鈴木の家に行ったのか?」
橘先生の問いに私は首を左右に振る。
「え? 行ってませんが……。今はネットで繋がっていれば違う場所でも一緒にゲームできるんですよ」
「そうなのか。俺たちの時代と違うな。息抜き、いいじゃないか。ドクターにもゲーム好きな人は多い。そういう話をするのもいいぞ」
「ちなみに先生は?」
「俺は苦手だ、ゲーム」
私はついくすりと笑ってしまった。そんな私に橘先生は少し目を和ませた。
「鈴木、お前は容姿は普通だが、笑顔は愛嬌がある。笑っとけ」
橘先生に言われて、私はドキッとした。
「は、はい……」
「ようし、今日はここまで。シルビルナの処方が欲しいのは痛いほどわかった。まあ、少しずつ増えていくといいな」
そう言いながら、橘先生はドアとは反対側の机の方を向いた。
「はい!」
「それから……」
「はい?」
「鈴木は一応男だから、あいつの部屋に一人で行ったりするなよ」
「はい」
私はまた笑った。橘先生は父親のような気持で言っているのだろう。でも、心配されている、それだけで私は十分嬉しかった。