MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「鈴木さん?」
階段を上る私に声をかけてきたのは夏目さんだった。
「相変わらず余裕のない顔してるわね。大丈夫?」
「すみません……」
夏目さんはふぅと息を吐いた。
「前にも言ったけど、大学ではそんな顔してちゃダメよ?」
「そう、ですよね。すみません」
言って笑顔を作ったが引きつっているのが自分でも分かった。
「今日の夜、電話してもいい? 私、鈴木さんの電話番号知らないから教えて」
「え? は、はい」
私は名刺に携帯番号を書いて夏目さんに渡した。
「何時頃なら出られる?」
「9時半過ぎには出られます」
「分かった。じゃあ、電話するわね。また夜」
夏目さんはそれだけいうと階段を降りて行った。私はしばらくぼうっとして、夏目さんの用事は何だろうと考えた。
「鈴木さん。今日も営業、頑張ってるね。感心感心!」
谷口先生が下りてきた。
「お疲れ様です!」
慌てて頭を下げる。手を挙げて私とすれ違い、下りていく谷口先生を見て、私、本当に頑張れているのかなと一瞬考えた。