MR(医薬情報担当者)だって恋します!
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「最近疲れた顔してるけど大丈夫?」
夜、支店に戻ると香澄が居て話しかけてきた。
「そんなに顔に出ちゃってる?」
「うん。明日の準備か何かする? もし帰れるなら一緒帰らない?」
「帰れる! ちょっとだけ待ってて!」
私は急いで帰宅の準備をした。
「帰ろ」
私たちはドアの前の出退社記録機器にカードを翳して会社を出た。
地下鉄の駅まで二人で歩く。
「ねぇ、その後、あのドクターとはどうなってるの?」
香澄に聞かれて、私は咳き込んだ。
「どうって……。どうもなってないよ!」
「ならいいけど……」
私は話そうか迷って香澄の顔をじっと見つめた。
「何?」
「あの、あのね」
「うん?」
「あのドクターは橘先生って言うんだけど、前、診察してもらった先生なんだ」
「え? あの先生だったの?」
私は頷く。
「それで?」
「……ひかないでね? 私、橘先生の部屋をよく訪ねるんだけど、橘先生の顔を見ると、涙が出てしまって」
「ええ?!」
香澄の表情が変わった。