MR(医薬情報担当者)だって恋します!


『……ないわ。鈴木さんがもしそうなら、諦めた方がいい。千薬さんの前のMRは確かにドクターと結婚したけど、そんな話はまれよ。遊ばれて捨てられるのがオチだわ。絶対に相手に気持ちを悟られたらだめ。傷つくのは鈴木さんよ』

 切羽詰まった声で言われて、私はきゅっと胸が痛くなった。

「そう、ですよね。分かってはいるんです」
『気持ちはなかなか消せないものかもしれないけれど、自分を大切にして。私から言えるのはこれくらい』
「夏目さんはいい人ですね」
『どうかしらね。私も数少ない女の大学のMRだから、少し鈴木さんのことが気になっただけよ』
「ありがとうございました。今日は話せて良かったです」
『接待のこと、今野さんに忘れずに確認してね』
「分かりました」
『じゃあ。また、何かあったら相談に乗るから』
「ありがとうございます」

 私は電話を切ってからしばらくぼんやりと座り込んだ。香澄も夏目さんもこの恋は諦めろと言う。私もそれが最善なのは分かってる。
 どうやったら自分に宿った炎を消せるのだろう。
 わからない。
 私はベッドに倒れこむ。
 わからない。
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