MR(医薬情報担当者)だって恋します!

出入り禁止の恐怖

 橘先生の部屋にはあの日以降も行っている。
 今のところ泣いていない。
 私は営業に行ってるんだ、と自分に言い聞かせて、距離をとるようにした。
 それは私には辛いことで、橘先生は特別ではないと思おうとする度に心は痛んだ。自分の気持ちを消そうとするのはなんて辛いことなんだろう。

 私が離れても橘先生は何も変わらない。それもまた悲しいことだった。私は橘先生にとってはやはりMRの一人に過ぎないのだ。当たり前のこと。
 分かっていても。
 辛い時ほど橘先生にぎゅっと抱きしめてもらえたら、なんて馬鹿な妄想をしてしまう自分がいる。

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