MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 どうしよう。どうしたらいいんだろう。
 まずは今野さんに報告しなくては。
 私は呼吸器内科の医局を出て今野さんを探した。
 が、こんな時に限ってなかなか見つからない。

 上の階から順に探そうと私は階段を上って腎臓内科の医局を覗いた。

「おや、千薬さん」

 医局にいたのは谷口先生と岡田先生だった。

「どうしたの? そんな青い顔して」
「今野さんを探してるのですが、お見かけしませんでしたか?」
「見てないねえ」
「そうですか、ありがとうございます」

 私は頭を下げて医局を出ようとする。そんな私に声がかかった。

「千薬さんは真面目で好感が持てるね」
「ありがとうございます」

 谷口先生に言われ、もう一度頭を下げる。

「それに比べて、アベルファーマシー。滅多に来ないくせに、僕に失礼なことを言ってね」

 谷口先生の声にどきりとした。

「あー、誰だっけ? 僕名前も知らないですよ」

 岡田先生が笑った。

「出入り禁止だな」

 出入り禁止……。谷口先生の言葉に、私は血の気が引いていくのを感じた。

 こんなに簡単に出入り禁止されてしまうの?

 だめだ。一刻も早く今野さんを探して、塩屋先生に謝罪に行かないと。

「すみません、失礼します」

 私は一礼して医局を出た。探すのももどかしい。電話をしよう。
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