MR(医薬情報担当者)だって恋します!
私は塩屋先生を怒らせた経緯を橘先生に話した。
橘先生はしばらくううんと唸っていた。
「塩屋の言い分はもっともだ」
「そうですよね」
「でも鈴木が怒って言ってしまった気持ちも分からないでもない」
「ありがとうございます」
橘先生は私の方を見て、
「まあ、でも塩屋は後に引かないタイプだ。鈴木が謝罪すれば大丈夫だろうよ」
と言ってくれた。
「そうだと、いいんですが……」
「何が不安なんだ?」
私は胸の前で両手をぎゅっと握りしめた。
「あの……。私、出入り禁止にならないでしょうか?」
橘先生は、少し目を見張って私を見た。
「俺は出禁になんてしないつもりだが? なんで出禁なんて……」
「ある科で他社MRが出禁にされるのを聞いてしまったのです。医局長を怒らせて。私も塩屋先生を間違いなく怒らせてしまったので」
私は下を向きながらそう言った。
「そこは俺が何とかするからいい。まずは塩屋に謝罪してこい。そろそろ病棟から戻ってきているかもしれない」
「そうですね。行ってみます」
私は橘先生に一度頭を下げてから、橘先生の部屋のドアを開けた。
「冷静にな」
背中に降ってきた橘先生の声に、
「はい」
と私は頷き、再び塩屋先生の部屋の前に立った。