MR(医薬情報担当者)だって恋します!
4階のエレベーターホールに行くと、鈴木がいた。
「お疲れ様!」
「おう! 今日、呼吸器内科説明会、クラウスさんみたいだよ」
「じゃあ、夏目さんだね」
「そうだね」
私と鈴木は病棟などにいたドクターがカンファレンスルームに入って行くのを捕まえては用事を伝えた。
クラウスの説明会が始まった。漏れてくる声を聞こうとしたが、ちょっと無理だった。
私は鈴木にこそっと、
「今度の土日、しろが遊びに来るんだけど、鈴木はどこに連れて行ったらいいと思う?」
と尋ねた。
鈴木は目だけこちらに向けて、
「しろって、ゲーム一緒にしてるしろさん? 遊びに来るんだ? 仲良いね」
と返事をした。
「うん。しろは大学の時の一番の親友なんだ。私、友達少ないんだけど、その数少ない一人なの」
「動植物園あるよ。大きな。あと、公園かな。城跡の」
「そうなんだ、じゃあそこ行ってみよう。地下鉄で行けるよね? ホテルはとってもらうんだけど駅前にいくつかあるよね?」
「一人なんだし、家に泊めたら? 鈴木んちそんなに汚いの?」
「汚いって、失礼ね。しろが男じゃなかったら泊めるけど、親友とは言え男だからさ」
「え!? しろさんって男なの?!」
鈴木が驚いたように身体をこちらに向けた。声が少し大きい。私は指に人差し指を当てて、静かにと合図する。
「うん。言ってなかったっけ? 史郎だからしろって呼んでるんだ」
「……わざわざ泊まりで遊びに来るって、それって彼氏じゃないの? 男女の友達でなんかそういうの、考えられないんだけど」
苦虫を噛み潰したように鈴木が言う。
「えー? 違うよ。しろは親友で彼氏じゃない」
私の言葉に鈴木はため息を一つつく。
「やっぱりあんた変わってるな」
「よく言われちゃうけど、鈴木に言われたくはないな」
鈴木は少し考えるような仕草をした。
「……なあ、俺もしろさんに会ってみたいな。ゲームでお世話になってるし」
「しろにきいてみるね。たぶん、しろも会いたいって言うんじゃないかな」
私は笑顔になって答えた。鈴木は、そんな私から目をそらして、
「今度の土日ね」
と確認するように言った。