MR(医薬情報担当者)だって恋します!


 その後説明会を終えて出てきたドクターにシルビルナの処方を声かけした。塩屋先生が珍しく、

「一例出した。自主研究の条件に当てはまったから」

 と言ってくれて嬉しかった。

 しろに鈴木が会いたがっていることを告げると、『俺も会ってみたい』という返事が返ってきた。私は何となくそうなる気がしていたので、特に驚かなかった。
 駅前に10時に集合で、三人でお茶してから、動植物園に行くことにしよう。
 鈴木にしろの許可がおりたことと、土曜日の待ち合わせ時間をLINEで伝えた。

『地下鉄で移動すんの?』

 というLINEに、流石に営業車では回れないからと返信した。どちらにしろ、鈴木はお茶した後帰るだろうから関係ないはず。

 私は動植物園への行き方と、その後の食事、最後に城跡に行き、夕飯を食べるという計画を立てた。昼食は鰻の美味しい店を探し、夕飯はハンバーグカレーの美味しいところを探した。どちらもしろの大好物だ。

 今日が木曜日だから、後何日もない。
 私は久しぶりにしろに会えるのが嬉しくて、営業時間も自然に笑顔になった。

「おう、なんか良いことあったのか?」

 医局に入ってきた橘先生に、

「土日に親友が遊びに来るんです」

 と答える。すると橘先生は優しく目を細めた。

「そうか。たまには息抜きも必要だな。楽しんでこいよ~」

 そういうと橘先生は医局をでていった。
 残っていた塩屋先生が、

「どこに行くか知らんが、井尻って抹茶パフェやってる店が駅の地下街の奥の方にあるから、行くといいぞ。あそこのは美味い」

 と教えてくれたので、

「ありがとうございます! 行ってみます!」

 驚いて返事した。

「塩屋先生は甘いもの、お好きなんですか?」
「甘すぎるのは嫌いだけどな」

 塩屋先生は自然体で、薬の話をしなければ普通に会話してくれるんだ、と思った。私は焦りすぎてたのかもしれない。

 午後からの営業で大学に行くと、ちょうど沢野先生が自室に入ろうとしているのを見かけた。

「沢野先生」

 沢野先生の背中に遠慮がちに声をかける。

「あ、鈴木さん。こんにちは。もしかして、エクサシールWの資料、持ってきてくれたのかな?」
「はい」
「どうぞ入ってください」
「失礼します」
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