MR(医薬情報担当者)だって恋します!
私たちは動物園の裏門から出て、坂を下りていった。坂を下りきって国道沿いに右に行くこと20分。鰻屋さんに着いた。入る前から鰻のタレのいい香りがする。
「疲れた時の鰻は格別だよな」
三人で鰻重を頬張った。鰻なんていつぶりだろう。
しろも喜んでるみたいで良かった。
それにしても、上鰻重は少し量が多かったかもしれない。美味しいから食べたいのだが、お腹がもう入らないと言っている。
「理緒? 何、多すぎた? 俺が食べてやるよ」
しろが私の残した鰻重を気にせず食べている。
鰻屋さんに入ってから無言だった鈴木が、
「やっぱり仲良すぎですよね? 本当は付き合ってるんじゃないですか?」
と疑がうような目で私たちを見て言った。
「仲は良いよな」
「親友だからね。でも、恋人じゃない。私たちには夢があって、お互いの結婚式に出て、スピーチするの。ね? しろ?」
「そうそう」
鈴木は疑わしそうな目をやめない。
しろはそんな鈴木を見て、
「鈴木さんが何を心配してるか分からないけど、俺と理緒は大学の4年間毎日一緒の研究室で過ごした。特に俺らの科は同学年が俺ら二人だけで、苦労を共にしたからこその関係なんです」
と言った。
私はその言葉に大学生の頃を思い出してうるっときそうになった。ゼミの準備、卒論の準備、そして何より母と兄のことで悩んでいた時にそばにいてくれたのがしろだった。
「それで」
しろが一度言葉を切って、私を見た。しろのこの目を知っている。