MR(医薬情報担当者)だって恋します!
「もう少し後で言おうと思っていたんだけど、言うよ、理緒」
「うん」
私は心の準備をして頷いた。
「彼女ができた」
しろの報告に私は安堵した。嬉しいものだったから。
「やったじゃん!」
私が拳をしろに向けて出すと、しろはそこに拳をぶつけてきた。
「理緒のことは彼女にも言ってるし、俺らの関係は変わらない。ただ、優先順位が彼女が一番になることを言っとくな」
「当然だよ!」
私としろの会話に鈴木は、
「え? 史郎さんは鈴木のことが好きなんじゃないの? どういうこと?」
と混乱した様子で言った。
「異性としてじゃなくて、人間としてとても大事だよ」
しろの答えに、私は最高の賛辞をもらったように嬉しく思った。
「そういう関係って本当に存在するの? 俺には分かんないね」
「なんで? 私と鈴木だって友達でしょ? 」
私の言葉に鈴木は一度私を見た。なんだろう。その目は泣きそうなそれでいて怒りを孕んだような目だった。
「俺、帰るね」
鈴木は自分の鰻の分のお金を置いて席を立った。そしてしろの方を見た。
「史郎さん。俺は彼女も親友も大事にするとか、器用なことはできないと思う。でも史郎さんができるというなら、鈴木を悲しませるまねは絶対しないで下さい」
「鈴木?」
私はなぜ鈴木が怒っているのか理解できなかった。
「……また病院でな」
鈴木はそう言って行ってしまった。