並んで歩くなら、あなたと
――正直に言えば、俺は彼女のことを三年前から知っていた。
といっても、名前と存在だけだけど。
俺が中学二年生のとき、授業の一環で職場体験があって、そのときから園芸に興味があったから、花菜ちゃんの実家である由紀農園に一週間行かせてもらった。
花菜ちゃんのお父さんである由紀さんは、大きくて顔も怖かったけど、丁寧で親切な人で、いろいろ教えてくれた。夕方になると、花菜ちゃんと弟さんが学校から帰ってきて、由紀さんの周りをうろうろしながら手伝っていて、しっかりしているんだなと遠くから見て思ったことを覚えている。
由紀さんが呼んでいたから名前は知っていたけど、夕方には帰る俺とは入れ違いで、遠くから見ただけだったから顔までは知らなかった。
俺が高校二年生になって園芸部に一年生が入ってきたときも、騒がしかったのと俺は後ろのほうにいたから、部長がまた女の子を連れてきた、くらいにしか思っていなかった。
だから、裏門に彼女が現れて名乗ったときは、本当にびっくりしたんだ。
あ、あのときの女の子だって。
その子が俺の隣にいてくれることも、一緒に花の世話ができることも、嬉しくて仕方がない。
丁寧な手つきも、真剣な眼差しも由紀さんにそっくりで、かっこよくてかわいくて、誰よりも輝いて見える。
だからこそ、その輝きが誰かに曇らされるのが、本当に嫌だった。
俺が勇気を出す理由なんて、本当にそれだけだったんだ。
***
といっても、名前と存在だけだけど。
俺が中学二年生のとき、授業の一環で職場体験があって、そのときから園芸に興味があったから、花菜ちゃんの実家である由紀農園に一週間行かせてもらった。
花菜ちゃんのお父さんである由紀さんは、大きくて顔も怖かったけど、丁寧で親切な人で、いろいろ教えてくれた。夕方になると、花菜ちゃんと弟さんが学校から帰ってきて、由紀さんの周りをうろうろしながら手伝っていて、しっかりしているんだなと遠くから見て思ったことを覚えている。
由紀さんが呼んでいたから名前は知っていたけど、夕方には帰る俺とは入れ違いで、遠くから見ただけだったから顔までは知らなかった。
俺が高校二年生になって園芸部に一年生が入ってきたときも、騒がしかったのと俺は後ろのほうにいたから、部長がまた女の子を連れてきた、くらいにしか思っていなかった。
だから、裏門に彼女が現れて名乗ったときは、本当にびっくりしたんだ。
あ、あのときの女の子だって。
その子が俺の隣にいてくれることも、一緒に花の世話ができることも、嬉しくて仕方がない。
丁寧な手つきも、真剣な眼差しも由紀さんにそっくりで、かっこよくてかわいくて、誰よりも輝いて見える。
だからこそ、その輝きが誰かに曇らされるのが、本当に嫌だった。
俺が勇気を出す理由なんて、本当にそれだけだったんだ。
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