並んで歩くなら、あなたと
 そうこうしているうちに一年生の男子が終わって、次はいよいよ一年生女子だ。

 最初は蓮乃が走るけど、待機列からじゃ写真は撮れないな。……と思ったら、ゴールの近くで藤也がスマホを構えていた。


 ピストルが鳴って、蓮乃が走り出す。相変わらず遅くて、世菜先輩ほどじゃないけど、下から二番目だ。

 その後の桔花もそんな感じ。

 あとで藤也に写真見せてもらおう。

 桃も走っていって、私は一年生女子の最後だ。

 二年生の席を見ると世菜先輩はいない。あれ?と思ったら、ゴール近くで藤也とスマホを構えていた。


「え、なんで……」

「位置について」


 先輩と藤也が手を振っていた。

 行かなきゃ、二人のところへ。

 ピストルが鳴る。

 脚が勝手に動いた。

 気付いたらゴールしていて、藤也と先輩が笑顔で拍手していた。


「さすが」

「由紀さん、早いねえ」


 藤也がどや顔で私の腕を引き、世菜先輩が笑顔で私を覗き込んだ。


「……ふふ、そうでしょ」

「花菜、世菜と並べよ」

「えっ、何で?」

「由紀さん、こっち」


 世菜先輩に肩を寄せられた。

 藤也がスマホを構えて、一瞬で写真を撮った。

 すぐに私と世菜先輩のスマホが震えて、笑顔の先輩と、ポカンとした私が並んだ写真が送られてきた。


「えー、なにいきなり」

「瑞希さんに送っていい?」

「パパ泣いちゃうからダメ」

「はは、たしかに」


 世菜先輩を見ると、スマホをぼーっと見つめていた。


「先輩? ごめんね、藤也が」

「ううん、嬉しい。部長、ありがとうございます」

「いーえ。じゃあ俺、この後借り物競争あるから」

「がんばってね。あ、写真撮っておくから」

「おう、よろしく!」


 藤也は笑って走っていった。

 私は先輩と観覧席に戻る。


「……花菜ちゃんも、部長の写真撮るんだ?」

「うん。パパに送る」

「部長の伯父さん?」

「そうそう。本当は来たがってたけど、保護者は見学不可でしょ。あと、藤也の彼女さんにも」

「そっか。たぶん園芸部のグループトークで部長の写真募集したら、一瞬でアルバムができるし、山ほど写真が集まるよ」

「あはは、想像つく」


 先輩は笑って、一年生の席まで一緒に来てくれた。


「さっき一緒に撮った写真、待ち受けにしていい?」

「恥ずかしいからダメです」

「残念。花菜ちゃんは次は障害物走だっけ。頑張ってね」

「うん。先輩、見ててね」


 世菜先輩はニコッと笑ってから、二年生の席に戻っていった。

 席に戻ると、また桃がニヤーっと笑って見ていた。


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