並んで歩くなら、あなたと
 先輩が困った顔でこちらを見た。

 ……あんなに『見ないで』って言ってたのに。


「わかった。頑張ってください」

「頑張る」


 並びに行く先輩を見送って、席に戻った。

 桃にからかわれたけど、まあ、あんなところで喧嘩した私が悪い。

 ……教頭先生に止められる前に、砂をぶつけておけばよかった。


 棒倒しで、先輩はボロボロになりながらも棒を支えていた。

 少しだけ写真を撮っておく。

 さっきの人に体当たりされてる。

 絶対わざとじゃん。本当にムカつく。

 見てられなかったけど、応援してって言われたし。

 ため息をついて立ち上がった。


「先輩! 勝って! そんなやつ、やっつけて!!」

「花菜、そういう競技じゃないよ」

「そうだけど、ムカつくじゃん! 同じチームなのに、先輩ばっかり狙って、わざとぶつかって……!」


 結局先輩のチームは負けちゃって、さっきの人がめっちゃ詰められていた。ざまーみろ。


「先輩……!」


 借りっぱなしだったタオルを持って、退場してきた二年生のもとに向かった。

 世菜先輩は砂まみれで、髪はボサボサで、あちこちに擦り傷ができている。


「酷い……保健室行こう」

「うん、ねえ、見ててくれた?」

「見てたし応援してた」

「ごめんね、勝てなくて」

「いいよ、勝てなくたって。そんなことより、先輩が怪我しないで戻ってきてくれる方がずっといい」

「泣かないでよ」

「泣いていない! もーいいから保健室! 私もそろそろ次の種目に行かないといけないから」


 先輩を保健室まで送ってから、並びに行った。

 あとは玉入れとクラス対抗リレーだ。

 玉入れは一年女子全員でやるから、わちゃわちゃと玉を投げておしまい。

 席に戻る途中で、二年生の席の後ろを通ったら、世菜先輩がクラスの人に慰められていた。

 先輩はもう何にも出ないし、そのまま座っていてほしい。心配になるから。


「坂木くん、ぼろぼろじゃん」

「だいじょぶ? 手え貸す?」

「すごい狙われてたもんね。坂木くん、大人しそうだから」


 ……私が心配しなくても、世菜先輩は女子に囲まれて心配されていた。

 ムカつくなあ、こんなに心配したのに。


 なんとなくつまらない気持ちで席に戻った。
 
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