並んで歩くなら、あなたと
放課後、世菜先輩と水やりをしながら沖縄の話をした。
修理中の首里城の周辺にある花壇を見に行きたいらしい。
「修学旅行だから、平和教育とか歴史的なんとかをコースに入れないといけないし、他の人たちは海とか行きたいみたいだし」
「沖縄なら、そうでしょうね」
「でも俺は興味ないな。沖縄じゃなくて、屋久島とか小笠原に、現地にしか生えてない植物を見に行きたいよ」
わからなくはないけど、修学旅行の行き先って感じじゃないな。
世菜先輩は藤乃くんと同じで、友達や周りの人のことより草花に興味があるみたいだ。
「修学旅行だと難しいんじゃないですか」
「だよなあ。花菜ちゃん、いつか一緒に行こう」
「……まあ、いつか、そのうち」
「いつか、そのうち、花菜ちゃんが大学一年の夏かな」
「いきなり具体的にするじゃないですか」
「それくらい本気で行きたいってことだよ。花菜ちゃんと」
先輩はニコッと笑って私を見た。
それになんて返せばいいのか、私にはちっともわからない。だからつい、かわいくないことを言ってしまう。
「まだわかんないですよ。大学に進学するかもわからないのに」
「そっか。先走っちゃいました。もうすぐ部長から、二年生がいない間の花壇の世話と分担の話があると思うけど、裏門の花壇は任せていい?」
「それは、はい。任せてください。先輩がいない間は、しっかり手入れします」
「花菜ちゃんは頼もしいねえ」
よく言われるけど、先輩に言われるとやけに嬉しかった。
***
次の週の放課後、中庭に行ったら藤也に呼ばれた。
「来週、世菜がいないの聞いてる?」
「修学旅行でしょ?」
「そうそう。だから裏門が花菜だけになるけど、大丈夫? 桔花か蓮乃を寄越そうか」
「水やりだけだし大丈夫。細かい世話は今週中に世菜先輩と済ませるよ。他のところだって二年生はいなくなるでしょ」
藤也はなぜか嬉しそうに笑った。
「いや、他は一年と三年が何人かずついるからさ。一、二年のペアってお前らのところだけだよ」
「そうだったんだ」
「まあ桔花と蓮乃が俺の補佐であちこち見てるけど。去年は世菜と当時の三年で三人だったんだよな。今年は優秀なの二人に任せちゃってるんだけど」
「ねー、世菜先輩すごいよね。花の手入れが丁寧だし、センスもいいし」
「珍しいじゃん、花菜がそんなに誰かを褒めるの」
「すごいと思ったら褒めるよ。そりゃ鈍くさいし、心配になるときもあるけどさ。でも、世菜先輩はそれだけの人じゃないよ」
「だってさ」
藤也が私の後ろに声をかけた。
振り向いたら、世菜先輩が苦笑していて、待って、いつからいたの!?
「藤也、言ってよ! いつからいたの!?」
「一、二年のペアって、のあたり」
「最初からじゃん、もー! 先輩、さっさと行きましょう。先輩がいなくなる分、やることがたくさんあるんですから」
「うん、行こうか。ホースとじょうろは俺が持つから、ゴミ袋とハサミお願い」
「行ってらっしゃい、二人とも」
笑う藤也に見送られて、世菜先輩と裏門に向かった。
先輩はその日ずっと機嫌が良くて、もー!
別に褒めたわけじゃなくて、事実を言っただけなんだから、そんなに嬉しそうにこっちを見ないでほしかった。
修理中の首里城の周辺にある花壇を見に行きたいらしい。
「修学旅行だから、平和教育とか歴史的なんとかをコースに入れないといけないし、他の人たちは海とか行きたいみたいだし」
「沖縄なら、そうでしょうね」
「でも俺は興味ないな。沖縄じゃなくて、屋久島とか小笠原に、現地にしか生えてない植物を見に行きたいよ」
わからなくはないけど、修学旅行の行き先って感じじゃないな。
世菜先輩は藤乃くんと同じで、友達や周りの人のことより草花に興味があるみたいだ。
「修学旅行だと難しいんじゃないですか」
「だよなあ。花菜ちゃん、いつか一緒に行こう」
「……まあ、いつか、そのうち」
「いつか、そのうち、花菜ちゃんが大学一年の夏かな」
「いきなり具体的にするじゃないですか」
「それくらい本気で行きたいってことだよ。花菜ちゃんと」
先輩はニコッと笑って私を見た。
それになんて返せばいいのか、私にはちっともわからない。だからつい、かわいくないことを言ってしまう。
「まだわかんないですよ。大学に進学するかもわからないのに」
「そっか。先走っちゃいました。もうすぐ部長から、二年生がいない間の花壇の世話と分担の話があると思うけど、裏門の花壇は任せていい?」
「それは、はい。任せてください。先輩がいない間は、しっかり手入れします」
「花菜ちゃんは頼もしいねえ」
よく言われるけど、先輩に言われるとやけに嬉しかった。
***
次の週の放課後、中庭に行ったら藤也に呼ばれた。
「来週、世菜がいないの聞いてる?」
「修学旅行でしょ?」
「そうそう。だから裏門が花菜だけになるけど、大丈夫? 桔花か蓮乃を寄越そうか」
「水やりだけだし大丈夫。細かい世話は今週中に世菜先輩と済ませるよ。他のところだって二年生はいなくなるでしょ」
藤也はなぜか嬉しそうに笑った。
「いや、他は一年と三年が何人かずついるからさ。一、二年のペアってお前らのところだけだよ」
「そうだったんだ」
「まあ桔花と蓮乃が俺の補佐であちこち見てるけど。去年は世菜と当時の三年で三人だったんだよな。今年は優秀なの二人に任せちゃってるんだけど」
「ねー、世菜先輩すごいよね。花の手入れが丁寧だし、センスもいいし」
「珍しいじゃん、花菜がそんなに誰かを褒めるの」
「すごいと思ったら褒めるよ。そりゃ鈍くさいし、心配になるときもあるけどさ。でも、世菜先輩はそれだけの人じゃないよ」
「だってさ」
藤也が私の後ろに声をかけた。
振り向いたら、世菜先輩が苦笑していて、待って、いつからいたの!?
「藤也、言ってよ! いつからいたの!?」
「一、二年のペアって、のあたり」
「最初からじゃん、もー! 先輩、さっさと行きましょう。先輩がいなくなる分、やることがたくさんあるんですから」
「うん、行こうか。ホースとじょうろは俺が持つから、ゴミ袋とハサミお願い」
「行ってらっしゃい、二人とも」
笑う藤也に見送られて、世菜先輩と裏門に向かった。
先輩はその日ずっと機嫌が良くて、もー!
別に褒めたわけじゃなくて、事実を言っただけなんだから、そんなに嬉しそうにこっちを見ないでほしかった。