並んで歩くなら、あなたと

25.先輩が隣にいてくれるなら、だいたいのことは許せると思う

 教室を飛び出した私は階段を一段飛ばして降りて、先輩の教室に向かった。

 教室の入り口に、黄乃(きの)先輩がいた。


「黄乃先輩、世菜(せな)先輩って中にいます?」

坂木(さかき)くんなら部活に行ったよ。……坂木くん、最近元気ないけど、由紀(ゆき)ちゃんフッたの?」

「いえ、今から告ってきます」

「付き合ってなかったの!?」


 目を丸くした黄乃先輩に手を振って、私はまた走り出した。

 中庭に行くと、桔花(きっか)蓮乃(はすの)が部長を挟んでベンチに座っていた。


「世菜先輩来た?」

「来たよ。一人で裏門に行った」「一人でいいって」

「君ら二人は、坂木をからかったり、サボりたいだけだろうが」


 部長がたしなめると、二人はにこっと笑って部長に詰め寄った。


「やってらんないんですもの」

「うんざりなんですもの」

「なんで私たちが、お行儀悪い男の子に下手に出てよしよししてあげなきゃいけないんですか」

「文化祭実行委員の男子たち、甘えん坊にもほどがあるんじゃないですか」

「一年生の女子にいい子いい子してもらわなきゃできないような文化祭、やめちゃえばいいのに」

「ほら、部長、私たちを(ねぎら)ってください」

「お、俺に言うな! えっと、労いって何してほしいの……?」


 部長は男子としては普通の体型のはずなんだけど、背の高い双子に挟まれて、やけに小さく見えた。

 巻き込まれる前に、私はまた走り出した。


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