並んで歩くなら、あなたと
 夕方、着替えて中庭に行くと、藤也(とうや)が水やりをしていた。


「あれ、メイサちゃんは?」

「プチ同窓会するって言って、ファミレスに行った」


 藤也の顔は思ったよりも機嫌がよさそうだ。置いて行かれたってメソメソするかと思ったけど。


「瑞希さんがへこんでた」

「ふうん。そんなに気にすると思わなかったな」

「うちの母親が、好みがわかりやすいって笑ってた」

「しょうがないよ。私、パパの娘で、花音(かのん)さんの姪だから」

「やめろよ、親父と世菜が似てるってことになるじゃねえか。俺、わりと世菜のことかわいがってたのに」

「なんで。今後も私ともども、かわいがってよ」

「かわいがるよ。世菜は俺のかわいい後輩で、お前は俺のかわいい従妹だから」


 足音がしたから振り返った。

 夕日に照らされて見えにくいけど、私のかわいい王子様が歩いてきた。


「世菜ー、水やり行こー」

「うん、お待たせ」


 二人でホースとじょうろを出していたら、藤也がホースを置いて花のカタログを持ってきた。


「冬の花壇に植えたい苗を選んでおいてくれ。決めたら部長に言えよ」

「わかった。世菜が決めて。私、世菜のセンスが好きだから、どんな花壇ができるか楽しみなんだ」

「任せて」

「あ、一個だけフクジュソウを植えたい」


 見上げた世菜はやっぱりふにゃっと笑っていて、その顔がメイサちゃんを見る藤也や、花音さんを見る藤乃さんにそっくりだと、私はやっと気づいた。
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