並んで歩くなら、あなたと
30.君となら、どこへだって
文化祭の翌日、俺、坂木世菜は汗を流しながら教室の片付けをしていた。
「坂木くーん、こっちもお願い」
「今行く」
相変わらずいいように使われている気がするけど、別にいいんだ。
俺には俺のいいところがあって、それを好きだと言ってくれる子がいるから。
「坂木くん、今日の打ち上げ行く?」
「行くよ」
俺を呼んだ女子がソワソワした顔で覗き込んできた。
頷くと、その子は嬉しそうにした。
「そっか、嬉しい。……ほら、前に好きな子いるって言ってたから、その子とどこか行くかと思ったけど」
「彼女も自分のクラスの打ち上げ行くって言ってたから、今日は別行動なんだ」
そう言うと、その子の笑顔が固まった。
面倒で適当に躱していたけど、それもおしまい。
あの子に迷惑も心配もかけたくないから。
「それに次の休みにデートの約束もしてるからね。一日くらい離れてても大丈夫。もちろん俺は寂しいけどさ」
「……デート、なの?」
「うん、こないだやっと付き合えたんだ。文化祭で彼女の親にも挨拶したし。どこかでうちの親にも紹介したいけど、恥ずかしくてまだ言えてない」
うつむいた女子に背を向けて、手を動かす。
なんとか迷路の解体が終わったけど、机と椅子はぐちゃぐちゃだしゴミだっていっぱいあった。
「俺、机並べるからさ、そっちはゴミ集めてよ」
「あ、うん」
なんでもないように言って、女子が動き出すのを見守った。
俺はきちんと距離を保つから、そっちもそうしてほしい。
***
午前中いっぱい片付けをして、今日は学校はおしまい。
昼飯がてら近くのファミレスで打ち上げをするというので、みんなでぞろぞろ移動する。花菜ちゃんも近くのカラオケで同じように打ち上げをすると言っていたから、帰りに合流したいな。
そう送ろうか迷っていたら、隣にサッカー部のやつが座った。体育祭で花菜ちゃんに突っかかっていたやつだ。
「坂木、由紀さんと付き合ってんの?」
「うん」
「あのときの続き、できた?」
「まだ。次邪魔したら怒るよ」
「もう怒ってんじゃん」
そいつは笑って、変な色のモクテルをかき混ぜた。
「いいなー、俺もかわいい彼女ほしいなー」
「サッカー部に女マネいるじゃん」
「普通に怖いんだよ、あいつら……」
「あ、そうなんだ? 優しいイメージあったわ」
「俺もそう思ってたんだけどさあ」
あんなにムカついたのに、気づけば普通にどうでもいいことで盛り上がっていた。
まあ、半年も前のことだし。
花菜ちゃんはけんかっ早いけど、さっぱりしているから、それに釣られたのかもしれない。
きっとあの子なら、いつまでもうじうじ怒ったり不満を言ったりしない気がした。
「……やっぱり会いに行こう」
「は?」
「打ち上げ終わったら、彼女に会いに行く」
「そうしろよ。なんつーか、そういうの好きそう」
「花菜ちゃんが?」
「ううん、坂木が」
「なんだそれ」
笑いながらスマホを取り出し、花菜ちゃんにメッセージを送った。すぐに打ち上げをしているカラオケの住所が送られてきた。
これをあの子はどんな顔で送ってくれたんだろう。
そう考えるだけで、いてもたってもいられない。
「坂木くーん、こっちもお願い」
「今行く」
相変わらずいいように使われている気がするけど、別にいいんだ。
俺には俺のいいところがあって、それを好きだと言ってくれる子がいるから。
「坂木くん、今日の打ち上げ行く?」
「行くよ」
俺を呼んだ女子がソワソワした顔で覗き込んできた。
頷くと、その子は嬉しそうにした。
「そっか、嬉しい。……ほら、前に好きな子いるって言ってたから、その子とどこか行くかと思ったけど」
「彼女も自分のクラスの打ち上げ行くって言ってたから、今日は別行動なんだ」
そう言うと、その子の笑顔が固まった。
面倒で適当に躱していたけど、それもおしまい。
あの子に迷惑も心配もかけたくないから。
「それに次の休みにデートの約束もしてるからね。一日くらい離れてても大丈夫。もちろん俺は寂しいけどさ」
「……デート、なの?」
「うん、こないだやっと付き合えたんだ。文化祭で彼女の親にも挨拶したし。どこかでうちの親にも紹介したいけど、恥ずかしくてまだ言えてない」
うつむいた女子に背を向けて、手を動かす。
なんとか迷路の解体が終わったけど、机と椅子はぐちゃぐちゃだしゴミだっていっぱいあった。
「俺、机並べるからさ、そっちはゴミ集めてよ」
「あ、うん」
なんでもないように言って、女子が動き出すのを見守った。
俺はきちんと距離を保つから、そっちもそうしてほしい。
***
午前中いっぱい片付けをして、今日は学校はおしまい。
昼飯がてら近くのファミレスで打ち上げをするというので、みんなでぞろぞろ移動する。花菜ちゃんも近くのカラオケで同じように打ち上げをすると言っていたから、帰りに合流したいな。
そう送ろうか迷っていたら、隣にサッカー部のやつが座った。体育祭で花菜ちゃんに突っかかっていたやつだ。
「坂木、由紀さんと付き合ってんの?」
「うん」
「あのときの続き、できた?」
「まだ。次邪魔したら怒るよ」
「もう怒ってんじゃん」
そいつは笑って、変な色のモクテルをかき混ぜた。
「いいなー、俺もかわいい彼女ほしいなー」
「サッカー部に女マネいるじゃん」
「普通に怖いんだよ、あいつら……」
「あ、そうなんだ? 優しいイメージあったわ」
「俺もそう思ってたんだけどさあ」
あんなにムカついたのに、気づけば普通にどうでもいいことで盛り上がっていた。
まあ、半年も前のことだし。
花菜ちゃんはけんかっ早いけど、さっぱりしているから、それに釣られたのかもしれない。
きっとあの子なら、いつまでもうじうじ怒ったり不満を言ったりしない気がした。
「……やっぱり会いに行こう」
「は?」
「打ち上げ終わったら、彼女に会いに行く」
「そうしろよ。なんつーか、そういうの好きそう」
「花菜ちゃんが?」
「ううん、坂木が」
「なんだそれ」
笑いながらスマホを取り出し、花菜ちゃんにメッセージを送った。すぐに打ち上げをしているカラオケの住所が送られてきた。
これをあの子はどんな顔で送ってくれたんだろう。
そう考えるだけで、いてもたってもいられない。