鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した
数日後。製造部の人が営業部に顔を出した。
「立花さん、今いいっすか?」
「はあい、いかがなさいました?」
「ちょおっと教えてほしいんですけど、先日依頼もらったサイズってこれで合ってます?」
うちの会社は食品系の卸業をやっている。
でも製造部も持っていて食品の配送に必要な発砲スチロールの箱を作っている。
元はそっちが本業の会社だったらしいけど、気づけば運んだり中継ぎしたりするほうが儲かって、いつの間にかそっちがメインになった……ということらしい。
ともかく、搬送時に使う箱のサイズについて相談して、製造部の人は戻っていった。
仕事に戻ろうとしたら、ムスッとした長谷川がやってきた。手には湯気の立つマグカップを持っていて、甘い匂いが漂っている。
「……箱の話なら、俺でもよかっただろ」
「依頼したの私だからね」
だって長谷川に声かけるの怖いじゃん、とはさすがに言わなかった。
私だって、長谷川と私がいたら私に相談する。怖いからね!
長谷川は「そうだけどさ」と呟いた。
「あ、立花。今日は早めに上がれよ」
「うん。十七時以降には話しかけないでほしい」
「はいはい、そうさせてもらいますよ」
私が仕事に戻ると、長谷川も自分のデスクへ戻っていった。
「なんか、面倒見よくなったなあ」
思わず呟いたら、戸部先輩が
「面倒見イイって言うか、過保護になったね」
「あーはい。たしかに……」
つい長谷川の方をうかがったら、紫くんから資料を受け取っていた。
「これ、頼まれていた資料まとめときました」
「早かったな。助かる。ありがとう」
「いーえ、今後ともごひいきに」
「なんだそれ」
二人とも笑って仕事をしていて、なんていうか、ちょっと前なら考えられなかった光景だ。
職場の空気が良くなって、本当に助かる。
その後、本当に十七時以降は話しかけられなかったから、無事に定時ちょっと過ぎには帰り支度ができた。
パソコンを閉じてカバンを持ったら、空っぽのマグカップを片手に長谷川がやってきた。
「帰れ帰れ」
「ふふ、ありがと。お疲れさま。また明日ね」
「おう、また明日」
そう言いつつ、長谷川は給湯室の前までついてきた。
「長谷川も最近遅いでしょ。早めに帰りなよ」
なんとなくそう言ったら、長谷川が驚いたように目を丸くして、それからふっと柔らかく笑った。
「ありがと。そうする」
ひらひら手を振って、その場を離れた。
……そういう顔もするんだなあ。
最近、そんなことばっかり思ってる気がする。
「立花さん、今いいっすか?」
「はあい、いかがなさいました?」
「ちょおっと教えてほしいんですけど、先日依頼もらったサイズってこれで合ってます?」
うちの会社は食品系の卸業をやっている。
でも製造部も持っていて食品の配送に必要な発砲スチロールの箱を作っている。
元はそっちが本業の会社だったらしいけど、気づけば運んだり中継ぎしたりするほうが儲かって、いつの間にかそっちがメインになった……ということらしい。
ともかく、搬送時に使う箱のサイズについて相談して、製造部の人は戻っていった。
仕事に戻ろうとしたら、ムスッとした長谷川がやってきた。手には湯気の立つマグカップを持っていて、甘い匂いが漂っている。
「……箱の話なら、俺でもよかっただろ」
「依頼したの私だからね」
だって長谷川に声かけるの怖いじゃん、とはさすがに言わなかった。
私だって、長谷川と私がいたら私に相談する。怖いからね!
長谷川は「そうだけどさ」と呟いた。
「あ、立花。今日は早めに上がれよ」
「うん。十七時以降には話しかけないでほしい」
「はいはい、そうさせてもらいますよ」
私が仕事に戻ると、長谷川も自分のデスクへ戻っていった。
「なんか、面倒見よくなったなあ」
思わず呟いたら、戸部先輩が
「面倒見イイって言うか、過保護になったね」
「あーはい。たしかに……」
つい長谷川の方をうかがったら、紫くんから資料を受け取っていた。
「これ、頼まれていた資料まとめときました」
「早かったな。助かる。ありがとう」
「いーえ、今後ともごひいきに」
「なんだそれ」
二人とも笑って仕事をしていて、なんていうか、ちょっと前なら考えられなかった光景だ。
職場の空気が良くなって、本当に助かる。
その後、本当に十七時以降は話しかけられなかったから、無事に定時ちょっと過ぎには帰り支度ができた。
パソコンを閉じてカバンを持ったら、空っぽのマグカップを片手に長谷川がやってきた。
「帰れ帰れ」
「ふふ、ありがと。お疲れさま。また明日ね」
「おう、また明日」
そう言いつつ、長谷川は給湯室の前までついてきた。
「長谷川も最近遅いでしょ。早めに帰りなよ」
なんとなくそう言ったら、長谷川が驚いたように目を丸くして、それからふっと柔らかく笑った。
「ありがと。そうする」
ひらひら手を振って、その場を離れた。
……そういう顔もするんだなあ。
最近、そんなことばっかり思ってる気がする。