鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した
昼休み。コンビニでお茶を買ってきてから、給湯室の冷蔵庫からお弁当を出して、電子レンジで温めた。
席に戻って蓋を開けると、ほかほかの唐揚げとごはん、それに小松菜!
「いただきます……すごい、ちゃんとお弁当だ」
「立花さんがお弁当なんて珍しい。ていうか初めて?」
戸部先輩が私のお弁当を覗き込んだ。
先輩の手元にもお弁当があって、ふりかけのかかったごはんに卵焼き、プチトマトまで入っていて彩りがいい。私の、容器に詰めただけのお弁当とは全然違う。
「初めてです。でも、戸部先輩みたいにおいしそうなお弁当にはできませんでした」
「そりゃそうよ」
戸部先輩はにこりと笑った。
「私、高校生くらいから二十年近くお弁当作ってるのよ。立花さんはそれが初めてでしょう? いきなり同じレベルのものを作られたら、私の立つ瀬がないじゃない」
「……たしかに」
「お、美味そうじゃん」
長谷川も後ろから覗き込んできた。
「自分で作ったんだろ? 味見していい?」
「いいけど、長谷川のみたいにおいしくないよ」
「当たり前だろうが。こちとらプロの板前に子供の頃から仕込まれてるんだっての」
長谷川も戸部先輩と同じことを言った。
ちょっと悔しかったけど、そう言われてみれば、初心者のくせに何十年もやってる二人と同じようにできないなんて文句を言うのは、図々しかったのかもしれない。
「ちょっとしょっぱいな。醤油入れすぎただろ」
「わかるの?」
「見た目茶色いし」
改めて小松菜のお浸しを見たら、たしかに茶色いや。一晩経って味が染みたのか、昨日の夜よりさらに茶色くなっている。
「醤油のボトルを傾けたら、どばって出ちゃったんだ」
「スプーンを使え。計量スプーンじゃなくても、普通のでいいから」
「ふうん。じゃあ帰りにスプーン買っておく」
「家にスプーンもないの? それでここまでできれば上等だと思うわ」
「俺もそう思う。それに弁当用なら、ちょっとくらいしょっぱくてもいいだろ」
「そうなの?」
長谷川と戸部先輩が一緒に頷いた。
「冷めると味が分かりにくいから、お弁当は少し濃いめに味付けするのよ」
「あと、塩分濃度を上げると殺菌効果が高まるから、夏場は特にな」
「二人とも物知りですねえ」
「立花さんも、今知ったから物知り仲間です」
「言っただろ、ちょっとずつでいいんだって」
「……ありがとうございます」
なんでか、ちょっと泣けてきた。
二人とも優しいし、褒めてくれるし。
三十手前にもなって情けないけど、もうちょっと頑張ってみようかな、という気になれたのだった。
席に戻って蓋を開けると、ほかほかの唐揚げとごはん、それに小松菜!
「いただきます……すごい、ちゃんとお弁当だ」
「立花さんがお弁当なんて珍しい。ていうか初めて?」
戸部先輩が私のお弁当を覗き込んだ。
先輩の手元にもお弁当があって、ふりかけのかかったごはんに卵焼き、プチトマトまで入っていて彩りがいい。私の、容器に詰めただけのお弁当とは全然違う。
「初めてです。でも、戸部先輩みたいにおいしそうなお弁当にはできませんでした」
「そりゃそうよ」
戸部先輩はにこりと笑った。
「私、高校生くらいから二十年近くお弁当作ってるのよ。立花さんはそれが初めてでしょう? いきなり同じレベルのものを作られたら、私の立つ瀬がないじゃない」
「……たしかに」
「お、美味そうじゃん」
長谷川も後ろから覗き込んできた。
「自分で作ったんだろ? 味見していい?」
「いいけど、長谷川のみたいにおいしくないよ」
「当たり前だろうが。こちとらプロの板前に子供の頃から仕込まれてるんだっての」
長谷川も戸部先輩と同じことを言った。
ちょっと悔しかったけど、そう言われてみれば、初心者のくせに何十年もやってる二人と同じようにできないなんて文句を言うのは、図々しかったのかもしれない。
「ちょっとしょっぱいな。醤油入れすぎただろ」
「わかるの?」
「見た目茶色いし」
改めて小松菜のお浸しを見たら、たしかに茶色いや。一晩経って味が染みたのか、昨日の夜よりさらに茶色くなっている。
「醤油のボトルを傾けたら、どばって出ちゃったんだ」
「スプーンを使え。計量スプーンじゃなくても、普通のでいいから」
「ふうん。じゃあ帰りにスプーン買っておく」
「家にスプーンもないの? それでここまでできれば上等だと思うわ」
「俺もそう思う。それに弁当用なら、ちょっとくらいしょっぱくてもいいだろ」
「そうなの?」
長谷川と戸部先輩が一緒に頷いた。
「冷めると味が分かりにくいから、お弁当は少し濃いめに味付けするのよ」
「あと、塩分濃度を上げると殺菌効果が高まるから、夏場は特にな」
「二人とも物知りですねえ」
「立花さんも、今知ったから物知り仲間です」
「言っただろ、ちょっとずつでいいんだって」
「……ありがとうございます」
なんでか、ちょっと泣けてきた。
二人とも優しいし、褒めてくれるし。
三十手前にもなって情けないけど、もうちょっと頑張ってみようかな、という気になれたのだった。