離れた後の恋の仕方
荒木に腕を引っ張れながら救護室に行き、救護室の先生は俺の顔を見てギョッとして、そんなに酷いのか?
「消毒とガーゼで処置をするけど、後から腫れたり痛みが来るから、氷嚢でしっかりと冷やしなさい」
先生が消毒液を綿に浸して俺の左頬にポンポンと当てると、消毒液が染みて痛くて、少しだけ眉間にシワが寄り、荒木は処置を静かに見守っている。
左頬にガーゼを置かれて救急テープで貼られ、俺達は救護室を出て廊下を並んで歩くと、荒木が俺のユニフォームの裾をギュッと握った。
「どうした?」
「私のせいで、ご免」
「いーや。ボールの方向的には荒木じゃなくて俺の顔だったから、荒木のせいじゃない」
俺達はピタっと立ち止まって向かい合うと、荒木は俺の胸元に頭をポンっと寄せ、鼻の啜る音が聞こえ、参ったね。
「荒木の心の痛みに比べれば、へーき」
「………馬鹿」
「うん、馬鹿だよ」
俺は優しく答え、荒木の背中に右手を回して優しく叩くと、荒木は顔をもっと俺の胸元に寄せるから、左手はどうしようか。
抱き締める?ここ大学の校舎内だけど、この状況で抱擁したらきっと理性がぶっ飛んでいきそうで、それって荒木にとってまた心を傷つけそうで、左手は回せずに何とかブレーキをかける。
視線を感じるなって思ってその方向に顔を向けると、結構離れた距離から祐一が俺の荷物を持って苦笑していて、残念、もう少し荒木といちゃいちゃしたかったな。
すると祐一が俺の荷物をその場の足元に置いて立ち去り、俺は左手ですまんとジェスチャーして、ふと視線を下に向けるとまだ荒木は鼻を啜っていて、俺は祐一からもらったこの時間を1秒でも長くしたくて、荒木の頭の所に自分のガーゼが貼られている頬をコテンと寄せる。
「ねぇ、荒木」
「………何?」
「もう少し、“こう”していようよ」
「………ん」
荒木の小さな声の返事と頷きにやったと思って、背中に回していた右手を叩くの止めて手を添え、距離を詰めるように右腕の力を強めたら、荒木は俺のユニフォームをギュッと両手で掴んだ。
中学や高校でも付き合ってみた女の子たちがいたけれど、自分からこうしたいって思えなくて、出来ても手を握るくらいだったから、俺から抱きしめたいとかは荒木が初めてで、少しというかかなり俺の中で荒木の存在がデカくなっている。
暫く抱き合っていたら荒木が顔を上げたので俺も頬を離して見下ろすと、まだ荒木の目元が潤んでいて、右手を背中から離して人差し指の指腹で荒木の左目の目尻を拭った。
「泣きすぎって言っても、俺のせいだよな」
「ううん…違うわよ。でも痛いよね?」
荒木が右手で俺の左頬のガーゼに触れる。
「消毒液がちょ〜っとしみたけど」
「コンビニで氷の袋を買うから、氷嚢を作って冷やすわよ」
「まだ痛くはないけど」
すると荒木が左手を振って俺の頭にヒットする。
「こっちの方が痛い」
「良いから、買いに行くわよ!」
荒木がムスッとしながら先に歩き出したので、俺も叩かれた頭に右手を添えて歩き、祐一が置いてくれた荷物をひょいっと拾って校舎内から外に出て大学近くのコンビニで氷が大量に入った袋を1つ買って、また大学に戻ってサークルの部屋の中に入る。
俺は更衣室で私服に着替え、部屋に戻ると荒木がビニール袋に氷を入れて氷嚢を作り、俺を手招いたので側に行き、お互い椅子に座って荒木は氷嚢を俺の頬に添えた。
「冷やしておかなきゃ」
「ありがとう」
「こんな顔になって、格好いい顔が台無しね」
荒木が笑う。うん、泣き顔よりも断然可愛い笑顔が良いな。
「マジで台無しになるところだった」
「高坂君らしい言い方ね」
「そう?」
「きっと卒業しても、歳を重ねても言っていそう」
「そうかも」
お互い笑い、2か月前はあんなにぎこちないままだったのに、今はそうでもなくて、この温かい空気をずっとずっと荒木と感じていった。
「ー…n務!高坂専務!!」
体が揺れてバチっと瞼を開いたら祐一の姪の橘が立っていて、顔が怒っている。
「あれ?寝てた?」
「口を開けていました」
「ご免、ご免。早速今日の仕事のスケジュールを確認していい?」
いつの間にか寝ていて、随分懐かしい夢というか大切な思い出だったな。
一美との出会いは忘れることは1ミリも無くて、今夜もまた電話をしてみようかな。
「消毒とガーゼで処置をするけど、後から腫れたり痛みが来るから、氷嚢でしっかりと冷やしなさい」
先生が消毒液を綿に浸して俺の左頬にポンポンと当てると、消毒液が染みて痛くて、少しだけ眉間にシワが寄り、荒木は処置を静かに見守っている。
左頬にガーゼを置かれて救急テープで貼られ、俺達は救護室を出て廊下を並んで歩くと、荒木が俺のユニフォームの裾をギュッと握った。
「どうした?」
「私のせいで、ご免」
「いーや。ボールの方向的には荒木じゃなくて俺の顔だったから、荒木のせいじゃない」
俺達はピタっと立ち止まって向かい合うと、荒木は俺の胸元に頭をポンっと寄せ、鼻の啜る音が聞こえ、参ったね。
「荒木の心の痛みに比べれば、へーき」
「………馬鹿」
「うん、馬鹿だよ」
俺は優しく答え、荒木の背中に右手を回して優しく叩くと、荒木は顔をもっと俺の胸元に寄せるから、左手はどうしようか。
抱き締める?ここ大学の校舎内だけど、この状況で抱擁したらきっと理性がぶっ飛んでいきそうで、それって荒木にとってまた心を傷つけそうで、左手は回せずに何とかブレーキをかける。
視線を感じるなって思ってその方向に顔を向けると、結構離れた距離から祐一が俺の荷物を持って苦笑していて、残念、もう少し荒木といちゃいちゃしたかったな。
すると祐一が俺の荷物をその場の足元に置いて立ち去り、俺は左手ですまんとジェスチャーして、ふと視線を下に向けるとまだ荒木は鼻を啜っていて、俺は祐一からもらったこの時間を1秒でも長くしたくて、荒木の頭の所に自分のガーゼが貼られている頬をコテンと寄せる。
「ねぇ、荒木」
「………何?」
「もう少し、“こう”していようよ」
「………ん」
荒木の小さな声の返事と頷きにやったと思って、背中に回していた右手を叩くの止めて手を添え、距離を詰めるように右腕の力を強めたら、荒木は俺のユニフォームをギュッと両手で掴んだ。
中学や高校でも付き合ってみた女の子たちがいたけれど、自分からこうしたいって思えなくて、出来ても手を握るくらいだったから、俺から抱きしめたいとかは荒木が初めてで、少しというかかなり俺の中で荒木の存在がデカくなっている。
暫く抱き合っていたら荒木が顔を上げたので俺も頬を離して見下ろすと、まだ荒木の目元が潤んでいて、右手を背中から離して人差し指の指腹で荒木の左目の目尻を拭った。
「泣きすぎって言っても、俺のせいだよな」
「ううん…違うわよ。でも痛いよね?」
荒木が右手で俺の左頬のガーゼに触れる。
「消毒液がちょ〜っとしみたけど」
「コンビニで氷の袋を買うから、氷嚢を作って冷やすわよ」
「まだ痛くはないけど」
すると荒木が左手を振って俺の頭にヒットする。
「こっちの方が痛い」
「良いから、買いに行くわよ!」
荒木がムスッとしながら先に歩き出したので、俺も叩かれた頭に右手を添えて歩き、祐一が置いてくれた荷物をひょいっと拾って校舎内から外に出て大学近くのコンビニで氷が大量に入った袋を1つ買って、また大学に戻ってサークルの部屋の中に入る。
俺は更衣室で私服に着替え、部屋に戻ると荒木がビニール袋に氷を入れて氷嚢を作り、俺を手招いたので側に行き、お互い椅子に座って荒木は氷嚢を俺の頬に添えた。
「冷やしておかなきゃ」
「ありがとう」
「こんな顔になって、格好いい顔が台無しね」
荒木が笑う。うん、泣き顔よりも断然可愛い笑顔が良いな。
「マジで台無しになるところだった」
「高坂君らしい言い方ね」
「そう?」
「きっと卒業しても、歳を重ねても言っていそう」
「そうかも」
お互い笑い、2か月前はあんなにぎこちないままだったのに、今はそうでもなくて、この温かい空気をずっとずっと荒木と感じていった。
「ー…n務!高坂専務!!」
体が揺れてバチっと瞼を開いたら祐一の姪の橘が立っていて、顔が怒っている。
「あれ?寝てた?」
「口を開けていました」
「ご免、ご免。早速今日の仕事のスケジュールを確認していい?」
いつの間にか寝ていて、随分懐かしい夢というか大切な思い出だったな。
一美との出会いは忘れることは1ミリも無くて、今夜もまた電話をしてみようかな。