離れた後の恋の仕方
◇2人目のライバル(元カレ)
【VS恋敵のライバルが、“元カレ”だった場合】
一美との5年ぶりのデートから5日程が経ち、今日は2日後に6月号と7月号の部数会議が開かれるので、俺は経理課の期待している若手である木暮を専務室に呼び出し、ここ最近の3雑誌の売り上げについての話をしてもらう。
「今からするのは俺と木暮の“雑談”だから、橘はメモをしないでね。終わるまでは他の出版社の今後の発売予定の内容が分かる情報が欲しいな」
「かしこまりました」
橘はそう言うとパソコンのキーボードで調べ物をし始め、俺は改めて木暮に顔を向ける。
「季刊から大分時間が経っているけど、三井は3雑誌の部数会議での数と実績はどう感じている?」
「順に申し上げますと、『Focus』は差がそんなに開いていないです。『Clover』は他の出版社が付属品の効果で売り上げを伸ばす中で付けずに発行していて、秋は実績が伸びましたが、年明けの1月と2月が厳しかったです」
木暮は手に持っていた紙束の1つを俺に渡して、自身も紙束を手に1枚捲り、俺も資料に目を通す。
木暮が言うように『Clover』も付属品を付けずに健闘をしているけど、水瀬と副編の性格を考えると付属品は受け入れるには時間がかかりそうだし、付属品への予算もな。経理課のおっさんがネチネチと予算について突っ込んできそうだ。
「『Scoperta』は…、1番目標数が届かなかった秋の10月は経理課でも話題に上がっていまして、部長が1番ネチネチ言っていました」
「年中ネチネチ言っていて、疲れないのかね」
「取り巻き以外はそう思っていますし、俺もよく飽きないなと思います」
木暮って意外とズバズバと言うのが良いねぇ。
「次の部数会議のあのおっさんのターゲットは仁になりそうだな」
「俺もそう思いますが、荒木編集長って何を考えているか読み取れなくて。高坂専務は結構荒木編集長の事を気にかけていますが、実際荒木編集長はどんな方ですか?」
「俺だって読み取れない時はあるよ。でもあいつほど本を作ることに情熱を持っている奴はいないし、木暮もいつか仁の思いを分かる時が来るよ」
「は、はぁ…」
仁は表情が読み取れなくて困惑するのは分るけど、俺以上に本を作ることに情熱と信念を持っている奴だから、もっと仁が書く言葉を読んで欲しいな。
「この資料、ありがとね。経理課のおっさんの事で何かあればいつでも言って」
「はい」
木暮は専務室を出て行き、橘はまだパソコンを使っている。
「橘はどんな感じに進んでいる?」
俺が声をかけると橘はキーボードを叩く指をピタッと止めて、俺に顔を向ける。
「ファッション雑誌系ですと、先日創刊記念パーティーでお会いした後藤様が担当される雑誌が2号連続で創刊記念価格で販売するとのことでメディアの話題になっており、他の出版社も夏に向けてファッションとメイクを掛け合わせた内容です」
「他も色々模索しているね。ありがと」
内容によって売り上げが違うから、毎月、その先の事を予想するのも苦労するし、その結果に向けて編集長3人組はメンバー達と奮闘している。
「部数会議では経理課の三井部長が厳しい言い方をされるんですね」
「限られた資金で作るからね。長年やってくれるのは有難いけど、ストレスが溜まる言い方ばかりだと周りの士気が下がるのを気付いて欲しいね」
「叔父様も高坂専務が早く社長になって欲しいと仰っていました」
「親父の座を取るには相当な成果を出さないといけないし、編集長3人組がどう奮闘してくれるかだね」
「私は叔父様経由で編集長の方たちの事を事前に伺っていましたが、姫川編集長って本当にキツイ言い方が多いですね」
「あの言い方で損しているけど、編集長3人組の中では1番芯があって間違っていないし、水瀬も初代編集長の後任でプレッシャーの中で奮闘してくれてるね。後は仁も俺の後任で本当によくやってくれているし、今後も3雑誌をこの3人組で引っ張って欲しいね」
姫川達の頑張りもおっさん達に伝わって欲しいし、編集部のメンバーも、経理課や営業等の事務側のメンバーもこれから四つ葉出版社にいて欲しいし、俺ももっと頑張らないとな。
「さ、次の仕事に入ろうか」
「はい。この後はー…」
次々と仕事をこなし、1日が終わった。
一美との5年ぶりのデートから5日程が経ち、今日は2日後に6月号と7月号の部数会議が開かれるので、俺は経理課の期待している若手である木暮を専務室に呼び出し、ここ最近の3雑誌の売り上げについての話をしてもらう。
「今からするのは俺と木暮の“雑談”だから、橘はメモをしないでね。終わるまでは他の出版社の今後の発売予定の内容が分かる情報が欲しいな」
「かしこまりました」
橘はそう言うとパソコンのキーボードで調べ物をし始め、俺は改めて木暮に顔を向ける。
「季刊から大分時間が経っているけど、三井は3雑誌の部数会議での数と実績はどう感じている?」
「順に申し上げますと、『Focus』は差がそんなに開いていないです。『Clover』は他の出版社が付属品の効果で売り上げを伸ばす中で付けずに発行していて、秋は実績が伸びましたが、年明けの1月と2月が厳しかったです」
木暮は手に持っていた紙束の1つを俺に渡して、自身も紙束を手に1枚捲り、俺も資料に目を通す。
木暮が言うように『Clover』も付属品を付けずに健闘をしているけど、水瀬と副編の性格を考えると付属品は受け入れるには時間がかかりそうだし、付属品への予算もな。経理課のおっさんがネチネチと予算について突っ込んできそうだ。
「『Scoperta』は…、1番目標数が届かなかった秋の10月は経理課でも話題に上がっていまして、部長が1番ネチネチ言っていました」
「年中ネチネチ言っていて、疲れないのかね」
「取り巻き以外はそう思っていますし、俺もよく飽きないなと思います」
木暮って意外とズバズバと言うのが良いねぇ。
「次の部数会議のあのおっさんのターゲットは仁になりそうだな」
「俺もそう思いますが、荒木編集長って何を考えているか読み取れなくて。高坂専務は結構荒木編集長の事を気にかけていますが、実際荒木編集長はどんな方ですか?」
「俺だって読み取れない時はあるよ。でもあいつほど本を作ることに情熱を持っている奴はいないし、木暮もいつか仁の思いを分かる時が来るよ」
「は、はぁ…」
仁は表情が読み取れなくて困惑するのは分るけど、俺以上に本を作ることに情熱と信念を持っている奴だから、もっと仁が書く言葉を読んで欲しいな。
「この資料、ありがとね。経理課のおっさんの事で何かあればいつでも言って」
「はい」
木暮は専務室を出て行き、橘はまだパソコンを使っている。
「橘はどんな感じに進んでいる?」
俺が声をかけると橘はキーボードを叩く指をピタッと止めて、俺に顔を向ける。
「ファッション雑誌系ですと、先日創刊記念パーティーでお会いした後藤様が担当される雑誌が2号連続で創刊記念価格で販売するとのことでメディアの話題になっており、他の出版社も夏に向けてファッションとメイクを掛け合わせた内容です」
「他も色々模索しているね。ありがと」
内容によって売り上げが違うから、毎月、その先の事を予想するのも苦労するし、その結果に向けて編集長3人組はメンバー達と奮闘している。
「部数会議では経理課の三井部長が厳しい言い方をされるんですね」
「限られた資金で作るからね。長年やってくれるのは有難いけど、ストレスが溜まる言い方ばかりだと周りの士気が下がるのを気付いて欲しいね」
「叔父様も高坂専務が早く社長になって欲しいと仰っていました」
「親父の座を取るには相当な成果を出さないといけないし、編集長3人組がどう奮闘してくれるかだね」
「私は叔父様経由で編集長の方たちの事を事前に伺っていましたが、姫川編集長って本当にキツイ言い方が多いですね」
「あの言い方で損しているけど、編集長3人組の中では1番芯があって間違っていないし、水瀬も初代編集長の後任でプレッシャーの中で奮闘してくれてるね。後は仁も俺の後任で本当によくやってくれているし、今後も3雑誌をこの3人組で引っ張って欲しいね」
姫川達の頑張りもおっさん達に伝わって欲しいし、編集部のメンバーも、経理課や営業等の事務側のメンバーもこれから四つ葉出版社にいて欲しいし、俺ももっと頑張らないとな。
「さ、次の仕事に入ろうか」
「はい。この後はー…」
次々と仕事をこなし、1日が終わった。