離れた後の恋の仕方
専務室に一旦戻り、橘に留守を任せて会議室に向かい、いざ部数会議をし始めると各編集部の副編と九条ちゃんが資料を配り始め、その内容の出来栄えに驚く。
「先ずはファッション部からです。6月に関してはー…、7月はメンズモデルとの共演を特集した浴衣のページ作りをメインとしてー…」
「タウン情報部は6月はT都とS県の境目にあるこの地域でー…、7月は夏に向けて資料に書いてあるこの地域をー…」
この3日間でこれだけの内容を纏め上げるには相当大変だったと思うし、水瀬も姫川も6月と7月にかける思いが凄い。
「以上がタウン情報部からの説明だ」
「ありがと。次はスポーツ部だね」
姫川の説明が終わり、最後は仁だ。
本人は資料を手に取って立ち上がり、俺はどんな感じになるかわくわくする。
「先ずはスポーツ部の6月号と7月号に関しての部数は、6月64で7月は70を希望している」
仁がその数字を言った瞬間に会議室中にどよめきが起こり、今まで聞いたことのない数字だけどきっと仁なりの理由がある筈だ。
「はっ。こんな数字で経理は納得しないし、大体7月にこんな予算は割けないぞ!6月は30で7月は38だ」
あ〜、くそっ、そう言う返ししかできないのかよと経理のおっさんの態度にうんざりする。
「よく資料を読んでほしい。6月はー…」
仁はさらに資料の説明を続け、説明を聞くと筋が通っているし、これはこの数字じゃなきゃいけない理由で、会議に参加している経理課と営業の数人は編集長3人組の資料を読んで納得しているし、木暮の反応も良さげだ。
しかしまだおっさんが納得せず、そしてまた姫川との言い合いが始まり、しかも水瀬まで応戦し始めるし、今日中に青木印刷所に連絡しないとマズイのに。
「………はぁ」
仁は今回も発言は無しか…、と思っていたら仁は小さく溜め息を吐く。
「3人とも、煩い」
「ー!ー」
仁が強く声を出すと言い合っていた姫川達はピタッと会話を止めて、お?もしかして何か思いついた?
「今から俺達編集長3人と経理課の3人で、“じゃんけん対決”をして部数を決める」
「はぁ?」
「“じゃんけん”って、ねぇ仁、それ本気なの?」
姫川と水瀬は仁の提案に最初は戸惑っていたものの、仁の本気具合に乗り気になり、俺もこの超面白い展開にノリノリで進行役を買って出た。
勝負は1勝1敗の五分で、決勝戦は仁と経理課のおっさんの頂上対決となり、おっさんは明らかに動揺しているのが見て分かる。
「おい荒木、ぜってー決めろよ」
「負けてご免ね」
「荒木編集長ならいけますよ!」
「俺もです!会議室で待っているスポーツ部の皆も荒木編集長のこと、応援しています!」
「私も荒木編集長に勝って欲しいです!!」
先勝した姫川は仁に期待しているし、3回連続あいこの後に負けた水瀬はしょんぼりしていて、副編集長達と九条ちゃんは仁にエールを送る。
「おっさんも仁も準備は良い?これが最後の対決だ」
俺の言葉に仁とおっさんが立って、2人は向かい合う。
「最初はグー!!じゃんけんー…」
最後の対決は仁とおっさん以外の皆が声を出し、おっさんが“チョキ”で仁が“グー”を出した瞬間、大きな歓声が沸き起こり、スポーツ部の田所が仁の所に駆け寄って嬉しそうに笑っている。
「やったな、荒木」
「仁、凄いよ!!」
姫川も水瀬もこの結末に喜んでいて、いや~長引くかと思っていたら最高の決め方だった。
「俺、スポーツ部に報告してきます!!」
田所は物凄く嬉しそうに会議室を出て行ったら、おっさんはブスッとしていて、決まったんだから認めろよ。
「とにかく、これで部数は編集長3人組の数字で進めるから。青木印刷所には俺から伝えるし、7月号の部数会議は最終的な意思確認だから。以上!」
俺が会議の終わりを告げるとぞろぞろと参加者は退出し、俺はこのクソつまらない時間を最高な気分で終えることが出来た仁を労った。
この最高な結末を一美にも聞いて貰いたくて、午後の仕事をこなし、夜8時には家に帰って自分の部屋に入る。
スーツから私服に着替え、スマホのメッセージで一美に電話をしていいか尋ねた。
『今ならお父さん達がいないから、良いわよ』
良かった、俺達が連絡を取り合っている事を見らてたら一美が言われそうだし、直ぐ様一美に連絡をすると、2コールで繋がった。
「もしも〜し」
『うん、どうしたの?』
「実はさ、会議のクソつまらない時間を仁が最高の結末で終わらせてー…」
俺は会議の顛末を話すと、電話口の一美は思いっきり笑う。
『仁って面白い事を思いつくのね』
「マジで最高だったし、可愛い部下の宝条さんも前に同じ様な事をしていてさ、この2人は考え方が良いね」
『きっと相性が良いのかもね』
「宝条さんが長く続けてくれれば良いけど」
『あら、心配事でもあるの?』
「一美も分かっていると思うけど、スポーツ部って時間がファッション部やタウン情報部とは違って不規則だし、憧れだけじゃ続かないでしょ?」
『そうね。仁も最初は想像していたよりもキツイって』
「でしょ?今日、人事と話したんだけどー…」
俺の話に一美は真剣に聞いてくれて、時に励ましてくれる。
『稔が四つ葉を良くしたい気持ちは凄いと思うわ』
「ありがと。親父よりもデカくしたいし、それを俺の隣で一美に見ていて欲しい」
『………信じて良い?』
「信じてよ」
俺は真剣に想いを伝える。
『信じるまで時間がかかるけど、良い?』
「ああ、時間がかかるのは覚悟している。話を聞いてくれて、ありがと」
『ううん、こうして話を聞けて良かったわ。そろそろ寝るね』
「ああ、お休み」
一美との通話を終え、ふぅっと息を吐く。
『………信じて良い?』か…、一度離れてしまっているから確認したくなるし、口では信じてよって言ったけど、行動で示していかなきゃダメだろう。
俺はスマホをバックにしまい、就寝した。
「先ずはファッション部からです。6月に関してはー…、7月はメンズモデルとの共演を特集した浴衣のページ作りをメインとしてー…」
「タウン情報部は6月はT都とS県の境目にあるこの地域でー…、7月は夏に向けて資料に書いてあるこの地域をー…」
この3日間でこれだけの内容を纏め上げるには相当大変だったと思うし、水瀬も姫川も6月と7月にかける思いが凄い。
「以上がタウン情報部からの説明だ」
「ありがと。次はスポーツ部だね」
姫川の説明が終わり、最後は仁だ。
本人は資料を手に取って立ち上がり、俺はどんな感じになるかわくわくする。
「先ずはスポーツ部の6月号と7月号に関しての部数は、6月64で7月は70を希望している」
仁がその数字を言った瞬間に会議室中にどよめきが起こり、今まで聞いたことのない数字だけどきっと仁なりの理由がある筈だ。
「はっ。こんな数字で経理は納得しないし、大体7月にこんな予算は割けないぞ!6月は30で7月は38だ」
あ〜、くそっ、そう言う返ししかできないのかよと経理のおっさんの態度にうんざりする。
「よく資料を読んでほしい。6月はー…」
仁はさらに資料の説明を続け、説明を聞くと筋が通っているし、これはこの数字じゃなきゃいけない理由で、会議に参加している経理課と営業の数人は編集長3人組の資料を読んで納得しているし、木暮の反応も良さげだ。
しかしまだおっさんが納得せず、そしてまた姫川との言い合いが始まり、しかも水瀬まで応戦し始めるし、今日中に青木印刷所に連絡しないとマズイのに。
「………はぁ」
仁は今回も発言は無しか…、と思っていたら仁は小さく溜め息を吐く。
「3人とも、煩い」
「ー!ー」
仁が強く声を出すと言い合っていた姫川達はピタッと会話を止めて、お?もしかして何か思いついた?
「今から俺達編集長3人と経理課の3人で、“じゃんけん対決”をして部数を決める」
「はぁ?」
「“じゃんけん”って、ねぇ仁、それ本気なの?」
姫川と水瀬は仁の提案に最初は戸惑っていたものの、仁の本気具合に乗り気になり、俺もこの超面白い展開にノリノリで進行役を買って出た。
勝負は1勝1敗の五分で、決勝戦は仁と経理課のおっさんの頂上対決となり、おっさんは明らかに動揺しているのが見て分かる。
「おい荒木、ぜってー決めろよ」
「負けてご免ね」
「荒木編集長ならいけますよ!」
「俺もです!会議室で待っているスポーツ部の皆も荒木編集長のこと、応援しています!」
「私も荒木編集長に勝って欲しいです!!」
先勝した姫川は仁に期待しているし、3回連続あいこの後に負けた水瀬はしょんぼりしていて、副編集長達と九条ちゃんは仁にエールを送る。
「おっさんも仁も準備は良い?これが最後の対決だ」
俺の言葉に仁とおっさんが立って、2人は向かい合う。
「最初はグー!!じゃんけんー…」
最後の対決は仁とおっさん以外の皆が声を出し、おっさんが“チョキ”で仁が“グー”を出した瞬間、大きな歓声が沸き起こり、スポーツ部の田所が仁の所に駆け寄って嬉しそうに笑っている。
「やったな、荒木」
「仁、凄いよ!!」
姫川も水瀬もこの結末に喜んでいて、いや~長引くかと思っていたら最高の決め方だった。
「俺、スポーツ部に報告してきます!!」
田所は物凄く嬉しそうに会議室を出て行ったら、おっさんはブスッとしていて、決まったんだから認めろよ。
「とにかく、これで部数は編集長3人組の数字で進めるから。青木印刷所には俺から伝えるし、7月号の部数会議は最終的な意思確認だから。以上!」
俺が会議の終わりを告げるとぞろぞろと参加者は退出し、俺はこのクソつまらない時間を最高な気分で終えることが出来た仁を労った。
この最高な結末を一美にも聞いて貰いたくて、午後の仕事をこなし、夜8時には家に帰って自分の部屋に入る。
スーツから私服に着替え、スマホのメッセージで一美に電話をしていいか尋ねた。
『今ならお父さん達がいないから、良いわよ』
良かった、俺達が連絡を取り合っている事を見らてたら一美が言われそうだし、直ぐ様一美に連絡をすると、2コールで繋がった。
「もしも〜し」
『うん、どうしたの?』
「実はさ、会議のクソつまらない時間を仁が最高の結末で終わらせてー…」
俺は会議の顛末を話すと、電話口の一美は思いっきり笑う。
『仁って面白い事を思いつくのね』
「マジで最高だったし、可愛い部下の宝条さんも前に同じ様な事をしていてさ、この2人は考え方が良いね」
『きっと相性が良いのかもね』
「宝条さんが長く続けてくれれば良いけど」
『あら、心配事でもあるの?』
「一美も分かっていると思うけど、スポーツ部って時間がファッション部やタウン情報部とは違って不規則だし、憧れだけじゃ続かないでしょ?」
『そうね。仁も最初は想像していたよりもキツイって』
「でしょ?今日、人事と話したんだけどー…」
俺の話に一美は真剣に聞いてくれて、時に励ましてくれる。
『稔が四つ葉を良くしたい気持ちは凄いと思うわ』
「ありがと。親父よりもデカくしたいし、それを俺の隣で一美に見ていて欲しい」
『………信じて良い?』
「信じてよ」
俺は真剣に想いを伝える。
『信じるまで時間がかかるけど、良い?』
「ああ、時間がかかるのは覚悟している。話を聞いてくれて、ありがと」
『ううん、こうして話を聞けて良かったわ。そろそろ寝るね』
「ああ、お休み」
一美との通話を終え、ふぅっと息を吐く。
『………信じて良い?』か…、一度離れてしまっているから確認したくなるし、口では信じてよって言ったけど、行動で示していかなきゃダメだろう。
俺はスマホをバックにしまい、就寝した。