離れた後の恋の仕方
◆5年ぶりの電話
“凄く大切な人”である一美と再会をした翌日、電車で藍山駅に向かい、改札を通って四つ葉に向けて歩き出す。
本来なら祐一の運転で四つ葉に行きたい所だけど療養中だから無理はさせたくないのと、祐一が回復するまで祐一の姪の橘里香を臨時雇用として採用し、本人は運転免許は無いので、俺は暫くは電車通勤になった。
四つ葉のビルが見え、中に入ると廊下を歩く社員達が俺を見てギョッとするのは、きっと唇の側にあるガーゼを見たからだろう。
「どうされたんですか?」
「痛そう…」
「心配してくれてありがとう。もっと慰めてよ」
「またまたぁ、そんな事を仰ってると姫川編集長に怒られますよ」
「それは嫌だなぁ」
痛いのは痛いし、それを誤魔化すために慰めてよって言ったけど、確かにタウン情報部の編集長である姫川はいつも俺に怒ってくるからなぁ。
「俺だって毎回怒るのもダルいぞ」
背後から不機嫌な声で言われて振り返るとご本人様のご登場で、姫川も俺の顔を見て何だその顔って表情だ。
「そのガーゼ、どうしたんだ」
「ちょっとね。それより6月号の進行はどう?候補の場所を変えたいって言ってなかった?」
「この後に九条と現地に行って、役所の観光課に情報をもらうアポを取っている。それで決める」
「オッケー」
2人で階段の方へ行き、1段1段上る。
「喧嘩でもしたのかよ」
「ん〜、してないよ」
「………相変わらず本心を話さないのが気に食わねぇ」
「俺の性格、分かってるじゃん」
「ふん」
姫川はブスッとしながら2階の編集部に行き、俺も階段を上がって3階に行き、専務室に入って自分の椅子にドカっと座る。
本心ねぇ…、言えるかよ。
“凄く大切な人”に会いに行ってファイルの角でぶん殴られたって話したら絶対に笑うだろうし、そういう自分だって弟さんにボッコボコにお見舞いされて青痣作ってたじゃんと、その時の姫川の顔を思い出す。
でも後で2人で飲んだ時に姫川は一切の反撃をしないで弟さんの右手を受け入れたって聞いた時、きっと弟さんの気持ちを大事にしていたんだろうと感じたな。
専務室のドアが開いて橘が入って来て、俺の顔を見ても平然としている。
「おはようございます」
「おはよー」
橘は秘書席に向かい、バックを机の上に置いて手帳を取り出し、俺の前に立って手帳をパラっと捲る。
「本日のスケジュールですが変更は無く、30分後に高坂社長と共に青木印刷所に向かいます」
「へいへい。いつまでも親子で印刷所に行くのも卒業したいな」
「私からは何とも申し上げれませんし、高坂専務から直接仰って下さい」
橘はそう言うと秘書席に行き、椅子に座ってバックから仕事道具のペンケースを取り出したり、机の上に置いてある祐一のパソコンの電源を入れて仕事をし始める。
臨時雇用として採用して2か月位経つけど、もう少し愛嬌があると良いんだけどねぇって言うと、叔父の祐一に怒られるか。
俺もバックから3雑誌の5月号の売り上げ報告や、6月号と7月号についての展望を書かれている資料について目を通すけど、3雑誌共に去年と比べて内容が弱いな。
特に親父が“Scoperta”を“休刊”の対象にしているから、それを阻止できるようにノルマ3ヶ月の売り上げをスポーツ部には頑張って欲しいけど、このままだとマズいし、俺の後任として編集長をしている荒木仁にサシで話すか。
専務室のドアがノックされ入って来たのは総務課の星野さんで、いつも郵便物を届けてくれるのは助かるね。
「高坂専務宛の郵便物をー…、そのお顔、どうされたんですか?!」
「ちょっとね〜。いつも郵便物をありがとう」
「郵便物をお預かりします」
「は、はい…、お願いします」
星野さんの反応が普通だと思うけど、橘は淡々としていて郵便物を受け取り、星野さんは専務室を出て行き、橘は椅子に座って郵便物を確認する。
「営業的な葉書に、こちらはー…先日お食事された方からのお誘いのお葉書ですね」
「それ、捨てて良いよ」
「では、そうします」
橘は問答無用に葉書をゴミ箱に突っ込み、それを見て俺は笑う。
「良いね〜。俺も興味ない物は問答無用で捨てよっと」
「叔父様から『こういった葉書は高坂は興味ないから、捨てて良いよ』と、ここに来る前に聞かされてましたから」
「そうなの?祐一も良く俺の性格が分かってるね」
この場に祐一がいたら、本人は俺に確認する前にいつもゴミ箱に突っ込んでたもんな。
「もうすぐ時間になりますので、ご準備をお願いします」
「しますよ、しますぅ」
俺は出掛ける準備をし始め、橘と一緒に専務室を出て行った。
本来なら祐一の運転で四つ葉に行きたい所だけど療養中だから無理はさせたくないのと、祐一が回復するまで祐一の姪の橘里香を臨時雇用として採用し、本人は運転免許は無いので、俺は暫くは電車通勤になった。
四つ葉のビルが見え、中に入ると廊下を歩く社員達が俺を見てギョッとするのは、きっと唇の側にあるガーゼを見たからだろう。
「どうされたんですか?」
「痛そう…」
「心配してくれてありがとう。もっと慰めてよ」
「またまたぁ、そんな事を仰ってると姫川編集長に怒られますよ」
「それは嫌だなぁ」
痛いのは痛いし、それを誤魔化すために慰めてよって言ったけど、確かにタウン情報部の編集長である姫川はいつも俺に怒ってくるからなぁ。
「俺だって毎回怒るのもダルいぞ」
背後から不機嫌な声で言われて振り返るとご本人様のご登場で、姫川も俺の顔を見て何だその顔って表情だ。
「そのガーゼ、どうしたんだ」
「ちょっとね。それより6月号の進行はどう?候補の場所を変えたいって言ってなかった?」
「この後に九条と現地に行って、役所の観光課に情報をもらうアポを取っている。それで決める」
「オッケー」
2人で階段の方へ行き、1段1段上る。
「喧嘩でもしたのかよ」
「ん〜、してないよ」
「………相変わらず本心を話さないのが気に食わねぇ」
「俺の性格、分かってるじゃん」
「ふん」
姫川はブスッとしながら2階の編集部に行き、俺も階段を上がって3階に行き、専務室に入って自分の椅子にドカっと座る。
本心ねぇ…、言えるかよ。
“凄く大切な人”に会いに行ってファイルの角でぶん殴られたって話したら絶対に笑うだろうし、そういう自分だって弟さんにボッコボコにお見舞いされて青痣作ってたじゃんと、その時の姫川の顔を思い出す。
でも後で2人で飲んだ時に姫川は一切の反撃をしないで弟さんの右手を受け入れたって聞いた時、きっと弟さんの気持ちを大事にしていたんだろうと感じたな。
専務室のドアが開いて橘が入って来て、俺の顔を見ても平然としている。
「おはようございます」
「おはよー」
橘は秘書席に向かい、バックを机の上に置いて手帳を取り出し、俺の前に立って手帳をパラっと捲る。
「本日のスケジュールですが変更は無く、30分後に高坂社長と共に青木印刷所に向かいます」
「へいへい。いつまでも親子で印刷所に行くのも卒業したいな」
「私からは何とも申し上げれませんし、高坂専務から直接仰って下さい」
橘はそう言うと秘書席に行き、椅子に座ってバックから仕事道具のペンケースを取り出したり、机の上に置いてある祐一のパソコンの電源を入れて仕事をし始める。
臨時雇用として採用して2か月位経つけど、もう少し愛嬌があると良いんだけどねぇって言うと、叔父の祐一に怒られるか。
俺もバックから3雑誌の5月号の売り上げ報告や、6月号と7月号についての展望を書かれている資料について目を通すけど、3雑誌共に去年と比べて内容が弱いな。
特に親父が“Scoperta”を“休刊”の対象にしているから、それを阻止できるようにノルマ3ヶ月の売り上げをスポーツ部には頑張って欲しいけど、このままだとマズいし、俺の後任として編集長をしている荒木仁にサシで話すか。
専務室のドアがノックされ入って来たのは総務課の星野さんで、いつも郵便物を届けてくれるのは助かるね。
「高坂専務宛の郵便物をー…、そのお顔、どうされたんですか?!」
「ちょっとね〜。いつも郵便物をありがとう」
「郵便物をお預かりします」
「は、はい…、お願いします」
星野さんの反応が普通だと思うけど、橘は淡々としていて郵便物を受け取り、星野さんは専務室を出て行き、橘は椅子に座って郵便物を確認する。
「営業的な葉書に、こちらはー…先日お食事された方からのお誘いのお葉書ですね」
「それ、捨てて良いよ」
「では、そうします」
橘は問答無用に葉書をゴミ箱に突っ込み、それを見て俺は笑う。
「良いね〜。俺も興味ない物は問答無用で捨てよっと」
「叔父様から『こういった葉書は高坂は興味ないから、捨てて良いよ』と、ここに来る前に聞かされてましたから」
「そうなの?祐一も良く俺の性格が分かってるね」
この場に祐一がいたら、本人は俺に確認する前にいつもゴミ箱に突っ込んでたもんな。
「もうすぐ時間になりますので、ご準備をお願いします」
「しますよ、しますぅ」
俺は出掛ける準備をし始め、橘と一緒に専務室を出て行った。