離れた後の恋の仕方
◇再会:ご両親に会いに行く
荒木不動産屋に行った日の翌日、専務室で橘とスケジュールを確認していると仁が入ってきた。
「今度、鷲尾さんの取材があるんだけど、宝条さんを連れて行く」
「まだ取材に行くのは大分先になると思ったけど?」
「この前も水野達の取材を見学させたし、鷲尾さんの話しはきっと宝条さんにも良い経験になる」
「仁がそう言うなら良いけどさ、無理ない程度にね」
「分かった。その日は亮二が俺の個人企画の写真を撮ることになっている」
「そうなんだ。三輪っちの表紙も楽しみにしているよ」
「じゃあ、原稿の確認が詰まっているから会議室に戻る」
「じゃあね〜」
仁は専務室を出て行き、改めて橘とスケジュールを確認する。
「本日はお昼に高坂社長とご一緒に料亭にて広告関連の取引先の方達との会食がございます」
会食ねぇ、しかも“方達”の言葉に相手の性別が気になるんだよな。
「それって、向こうは男?」
俺の質問に橘は視線を手帳に向ける。
「手帳には男性お二人と伺っていますが」
「それならいいんだけど。去年さ、超美味しいホテルのランチが食べれるって期待していたら、向こうが女性を連れてきていて、強引にお見合いのセッティングをされたんだよ」
「でも、お断りされたんですよね」
「勿論。速攻断った」
あの時は親父の事を心底軽蔑したし、祐一が運転する車中で俺が親父にブチ切れて、向こうも同じ様に説教をしてきて、その時以来親父が俺を連れて食事に行く時は相手方の性別を気にするようになった。
「会食前に時間を作って、この前のお中元の買い出しで訪れた和菓子屋に行って手土産を買う。好みは親父から聞いている?」
「はい、餡は粒餡がお好みですね」
「オッケー。橘は料亭の別室で待機で、そこで美味しいランチを食べて待っててよ」
「良いのですか?」
「良いの、良いの。祐一なんて喜んで食べているし、いつも俺の仕事を頑張っているご褒美って思って」
「……ありがとう…ございます」
「うん、その言葉が嬉しいね」
俺がそう言うと橘は微笑み、いつもはクールというか表情に変化はないのに、こうして笑う表情もいいじゃん。
専務室のドアがノックされ、開くと姫川が入ってきてずかずかと俺の席の前に来る。
「この前の部数会議で提案した6月号で取り上げる地域の市役所の広報から連絡が来て、『Focus』の発売日に市役所の売店と近辺の書店に置いて売りたいらしく、打ち合わせとしてうちの営業の奴を行かせられるか?」
「書店周りを中心に動いてくれる神田のスケジュールによるけど、四つ葉の本を置いてくれるのは大歓迎だし、話をしてくれてありがとね。橘は姫川から市役所の広報の方の連絡先を控えて、お礼状の準備をお願い」
「かしこまりました」
「広報の連絡先だがー…」
姫川が橘に市役所の広報の連絡先を伝え、橘は必死にメモを取り、姫川は専務室を出て行った。
「姫川編集長とお話をするのは少し緊張します」
「だよね。根はいい奴だから、そこは分かってね」
「はい。お礼状を準備します」
「宜しく〜」
俺も自分宛のメールをチェックして返信をし、親父とは料亭にて現地集合にしたので先に橘と四つ葉を出て、佐々木が働く和菓子屋にタクシーで向かう。
タクシーから降りてお店に入ると、佐々木が俺達に気付いてこちらに来た。
「御用達になってきてるな」
「持っていくと喜ばれるし、美味しいってことじゃん」
「今日はどんな方に贈るの?」
「本日は60代と20代の男性お二人で、粒餡がお好みです」
佐々木の質問に橘がスッと答える。
「粒餡の商品は幾つかあるけど、すぐ食べる?」
「これから昼を一緒にするから、傷まない様にして欲しいかな」
「それならこっちの商品が美味しいし、冷蔵しても餡の風味は落ちないぞ」
「ありがと。このお店を見つけられて良かったよ。これからもどんどん来るね」
「はいはい、お会計はこちらです」
佐々木は棒読みで言うも顔は嫌そうじゃないし、卒業してこうして会ったのが不思議な縁だな。
会計を済ませ、お店を出て行き、待っていたタクシーに乗って料亭へ向かっていった。
「今度、鷲尾さんの取材があるんだけど、宝条さんを連れて行く」
「まだ取材に行くのは大分先になると思ったけど?」
「この前も水野達の取材を見学させたし、鷲尾さんの話しはきっと宝条さんにも良い経験になる」
「仁がそう言うなら良いけどさ、無理ない程度にね」
「分かった。その日は亮二が俺の個人企画の写真を撮ることになっている」
「そうなんだ。三輪っちの表紙も楽しみにしているよ」
「じゃあ、原稿の確認が詰まっているから会議室に戻る」
「じゃあね〜」
仁は専務室を出て行き、改めて橘とスケジュールを確認する。
「本日はお昼に高坂社長とご一緒に料亭にて広告関連の取引先の方達との会食がございます」
会食ねぇ、しかも“方達”の言葉に相手の性別が気になるんだよな。
「それって、向こうは男?」
俺の質問に橘は視線を手帳に向ける。
「手帳には男性お二人と伺っていますが」
「それならいいんだけど。去年さ、超美味しいホテルのランチが食べれるって期待していたら、向こうが女性を連れてきていて、強引にお見合いのセッティングをされたんだよ」
「でも、お断りされたんですよね」
「勿論。速攻断った」
あの時は親父の事を心底軽蔑したし、祐一が運転する車中で俺が親父にブチ切れて、向こうも同じ様に説教をしてきて、その時以来親父が俺を連れて食事に行く時は相手方の性別を気にするようになった。
「会食前に時間を作って、この前のお中元の買い出しで訪れた和菓子屋に行って手土産を買う。好みは親父から聞いている?」
「はい、餡は粒餡がお好みですね」
「オッケー。橘は料亭の別室で待機で、そこで美味しいランチを食べて待っててよ」
「良いのですか?」
「良いの、良いの。祐一なんて喜んで食べているし、いつも俺の仕事を頑張っているご褒美って思って」
「……ありがとう…ございます」
「うん、その言葉が嬉しいね」
俺がそう言うと橘は微笑み、いつもはクールというか表情に変化はないのに、こうして笑う表情もいいじゃん。
専務室のドアがノックされ、開くと姫川が入ってきてずかずかと俺の席の前に来る。
「この前の部数会議で提案した6月号で取り上げる地域の市役所の広報から連絡が来て、『Focus』の発売日に市役所の売店と近辺の書店に置いて売りたいらしく、打ち合わせとしてうちの営業の奴を行かせられるか?」
「書店周りを中心に動いてくれる神田のスケジュールによるけど、四つ葉の本を置いてくれるのは大歓迎だし、話をしてくれてありがとね。橘は姫川から市役所の広報の方の連絡先を控えて、お礼状の準備をお願い」
「かしこまりました」
「広報の連絡先だがー…」
姫川が橘に市役所の広報の連絡先を伝え、橘は必死にメモを取り、姫川は専務室を出て行った。
「姫川編集長とお話をするのは少し緊張します」
「だよね。根はいい奴だから、そこは分かってね」
「はい。お礼状を準備します」
「宜しく〜」
俺も自分宛のメールをチェックして返信をし、親父とは料亭にて現地集合にしたので先に橘と四つ葉を出て、佐々木が働く和菓子屋にタクシーで向かう。
タクシーから降りてお店に入ると、佐々木が俺達に気付いてこちらに来た。
「御用達になってきてるな」
「持っていくと喜ばれるし、美味しいってことじゃん」
「今日はどんな方に贈るの?」
「本日は60代と20代の男性お二人で、粒餡がお好みです」
佐々木の質問に橘がスッと答える。
「粒餡の商品は幾つかあるけど、すぐ食べる?」
「これから昼を一緒にするから、傷まない様にして欲しいかな」
「それならこっちの商品が美味しいし、冷蔵しても餡の風味は落ちないぞ」
「ありがと。このお店を見つけられて良かったよ。これからもどんどん来るね」
「はいはい、お会計はこちらです」
佐々木は棒読みで言うも顔は嫌そうじゃないし、卒業してこうして会ったのが不思議な縁だな。
会計を済ませ、お店を出て行き、待っていたタクシーに乗って料亭へ向かっていった。