離れた後の恋の仕方
◇“凄く大切な人”がいるから、断るってーの
一美に告白した仙道さん宛に一筆を書いてから数日後、俺は仁との【もりや】での楽しい昼食を過し、橘と共に青木印刷所や書店への挨拶周りから帰ってきたら、専務室の机の上に置かれたパーティーの招待状と可愛い一筆箋を見て、深い溜め息を吐く。
そんな俺の目の前に立つ水瀬も苦笑して、秘書席にいる橘は相変わらず淡々とパソコンのキーボードを叩いていた。
俺は一筆箋を手にしてそこに書かれている『紹介したい女性がいる』っていう文字を読むだけでもうんざりするし、今の俺には一美がいるっつーの。
「どうして高坂専務を指名したんですかね?」
「さぁ?見当もつかないし、親父が勝手にセッティングした会食という名のお見合いの時を思い出すね」
水瀬と俺であれこれ考えるも、思い出したのは嫌な思い出だ。
「お話し中、すいません。調べました所、招待状の送り主は先日後藤編集長が創刊した雑誌のパーティーに参加をされているようで、もしかしたらその際に高坂専務をお見かけしたのかもしれません」
橘がパソコンの画面をじぃっと見ながら話し、あんな短時間でよく俺を見つけられたな。しかも紹介って事は俺の身辺調査をしていることだろうし、もしかしたら一美の存在まで相手に知られてしまっていたら嫌だな。
それに相手の女性も俺の事をどこまで知っているのか、もしかして俺の母親の様に女性からの申し出だと断る時は仙道さんとは違って、紳士らしくしなくちゃ。
「先ずは断る前に送り主の事も相手の事も知る必要があるから、水瀬ってこの主催者とは面識はある?」
「名前位しか知ら無いです。パーティーは俺と副編だけで行くので、お酒は2杯までにします」
「だね。前は“とんでもない事”をやってくれたけど」
「あれは相手がクズだったんで、やられるのは仕方ないでしょ?」
水瀬が笑いながらあの“とんでもない事”を話すけど、確かに相手のクズっぷりを知れば仕方ないよな。
「忙しい中でこの招待状の件を話してくれて、ありがと。相手の事を知ったら断りの連絡を俺からするから、一旦預からせて」
「分かりました。………ねぇ、高坂さん」
「ん?どうした?」
「いつでもお泊まり保育は歓迎だから」
「ありがと。水瀬の優しさ、すげぇ嬉しいよ」
「また、結果が分かったら知らせてね」
水瀬はニコッと微笑み、専務室を出て行った。
「お泊まり保育って何ですか?」
「この前、水瀬の住むマンションに泊まらせてもらったんだ。水瀬の部屋って家具がお洒落だし、今度編集長3人組と俺でお泊まり保育をして、クッション投げ対決をすることを決めているんだ〜」
俺は橘にお泊まり保育の事を話す。あの時は水瀬の部屋で遅くまで一美の事を聞いてもらったり、水瀬と星野さんの惚気話で盛り上がったっけ。
「高坂専務って色んな事を思いつくんですね」
「楽しい事は幾つになっても考えるもんだよ」
俺はヘラっとしながらお泊まり保育について話し、一筆箋を書いた主催者について調べる。
この主催者はファッション業界ではアパレルブランドを幾つか立ち上げ、最近はメンズブランド“S”と共同で新しいブランドの出店を角井百貨店にすることを目指しているのか。
このパーティーもそのブランドのお披露目も兼ねてか…、俺に女性を紹介させて人脈づくりかよ。ご苦労さまって言いたいし、その女性もオッケーするなよな。
俺なんかよりもっといい奴に出会えるだろうに、自分の人生の時間を大事にして欲しい。
『あの子を…一美の人生を一度台無しにしたあんたを受け入れるには時間がかかるわ』
一美のお母さんからの言葉は今も心に残っていて、俺と一美の過ごした時間はとても長いし、それを一旦俺は家の事を優先して一美の時間を台無しにしてしまった。
「まもなく役員会議のお時間になります」
「オッケー。橘は此処でお留守番で」
俺は専務室を出て行って、頭の固いおっさん達がいる社長室に向かった。
そんな俺の目の前に立つ水瀬も苦笑して、秘書席にいる橘は相変わらず淡々とパソコンのキーボードを叩いていた。
俺は一筆箋を手にしてそこに書かれている『紹介したい女性がいる』っていう文字を読むだけでもうんざりするし、今の俺には一美がいるっつーの。
「どうして高坂専務を指名したんですかね?」
「さぁ?見当もつかないし、親父が勝手にセッティングした会食という名のお見合いの時を思い出すね」
水瀬と俺であれこれ考えるも、思い出したのは嫌な思い出だ。
「お話し中、すいません。調べました所、招待状の送り主は先日後藤編集長が創刊した雑誌のパーティーに参加をされているようで、もしかしたらその際に高坂専務をお見かけしたのかもしれません」
橘がパソコンの画面をじぃっと見ながら話し、あんな短時間でよく俺を見つけられたな。しかも紹介って事は俺の身辺調査をしていることだろうし、もしかしたら一美の存在まで相手に知られてしまっていたら嫌だな。
それに相手の女性も俺の事をどこまで知っているのか、もしかして俺の母親の様に女性からの申し出だと断る時は仙道さんとは違って、紳士らしくしなくちゃ。
「先ずは断る前に送り主の事も相手の事も知る必要があるから、水瀬ってこの主催者とは面識はある?」
「名前位しか知ら無いです。パーティーは俺と副編だけで行くので、お酒は2杯までにします」
「だね。前は“とんでもない事”をやってくれたけど」
「あれは相手がクズだったんで、やられるのは仕方ないでしょ?」
水瀬が笑いながらあの“とんでもない事”を話すけど、確かに相手のクズっぷりを知れば仕方ないよな。
「忙しい中でこの招待状の件を話してくれて、ありがと。相手の事を知ったら断りの連絡を俺からするから、一旦預からせて」
「分かりました。………ねぇ、高坂さん」
「ん?どうした?」
「いつでもお泊まり保育は歓迎だから」
「ありがと。水瀬の優しさ、すげぇ嬉しいよ」
「また、結果が分かったら知らせてね」
水瀬はニコッと微笑み、専務室を出て行った。
「お泊まり保育って何ですか?」
「この前、水瀬の住むマンションに泊まらせてもらったんだ。水瀬の部屋って家具がお洒落だし、今度編集長3人組と俺でお泊まり保育をして、クッション投げ対決をすることを決めているんだ〜」
俺は橘にお泊まり保育の事を話す。あの時は水瀬の部屋で遅くまで一美の事を聞いてもらったり、水瀬と星野さんの惚気話で盛り上がったっけ。
「高坂専務って色んな事を思いつくんですね」
「楽しい事は幾つになっても考えるもんだよ」
俺はヘラっとしながらお泊まり保育について話し、一筆箋を書いた主催者について調べる。
この主催者はファッション業界ではアパレルブランドを幾つか立ち上げ、最近はメンズブランド“S”と共同で新しいブランドの出店を角井百貨店にすることを目指しているのか。
このパーティーもそのブランドのお披露目も兼ねてか…、俺に女性を紹介させて人脈づくりかよ。ご苦労さまって言いたいし、その女性もオッケーするなよな。
俺なんかよりもっといい奴に出会えるだろうに、自分の人生の時間を大事にして欲しい。
『あの子を…一美の人生を一度台無しにしたあんたを受け入れるには時間がかかるわ』
一美のお母さんからの言葉は今も心に残っていて、俺と一美の過ごした時間はとても長いし、それを一旦俺は家の事を優先して一美の時間を台無しにしてしまった。
「まもなく役員会議のお時間になります」
「オッケー。橘は此処でお留守番で」
俺は専務室を出て行って、頭の固いおっさん達がいる社長室に向かった。