離れた後の恋の仕方
翌日、専務室で橘と1日のスケジュールを確認していると、ドアが開いて仁が入ってきた。
「球宴の事で高坂さんと確認したい事があるから、ロビーで話をしたい」
「………良いよ〜。橘、30分だけ席を外すね」
「かしこまりました」
俺は仁と一緒に専務室を出て、階段を降りて1階についてロビーにあるソファに対面で座る。
「で、球宴の件じゃないんでしょ?」
「そう。招待状の件」
仁が昨日の事を切り出し、俺はふぅっと息を吐く。仁が専務室で招待状の事を言わずに球宴の事でって言うのが、仁らしいな。
「昨日も言ったけど、あんな可愛い一筆箋も一緒に送ってくるのってたちが悪い」
俺は足を組んで、ソファの背もたれに背中を預ける。
「相手はどんな人?」
「『紹介したい人』しか書いてないし、前にもさ、俺の親父に騙されて会食という名の実はお見合いでしたというパターンかもな」
「そんなパターンがあったんだ」
「あった。あの時ほど自分の親に対して怒ったことはない」
俺はうんざりしながらあの時の話す。
「稔のお父さんって相変わらずなんだ」
お父さん=社長だけど、今はプライベートな話題だから、呼び方が変わる。
「35も過ぎた息子の恋愛に絡んでくるなよって思う。俺には一美がいるのにさ。大体ー…」
「…………」
仁は黙って俺の愚痴を聞いてくれて、大分溜まっていた物を吐き出させてきた。
「俺ばかりでご免」
「別に。いつもならこういう見合い話は事後報告で終わるのに、今回は違うなって電話で伝わったから」
「そうなんだ。橘を待たせているし、仕事に戻ろうか。鷲尾さんの話、今度読ませてよ」
「ああ。グローブの話はかなり良いから、載せる」
ソファから立ってまた階段を上がって、3階の廊下で別れた。
専務室でパーティーの主催者に断りの連絡をしようと、橘には席を外して、廊下で待っていてもらうようにした。
俺は連絡先が書かれたメモを手に、スマホで番号を打ち込んで発信のボタンを押して、数コールで繋がった。
「ハジメマシテ、四つ葉出版社の高坂稔です」
『はじめまして、◯◯会社の溝口です。ご連絡をいただきまして、ありがとうございます』
「先日、招待状を受け取りました。そしてご紹介の件ですが」
『ありがとうございます!』
相手は嬉しそうにしているけどー…
「申し訳ございません。紹介は受けることは出来ませんし、今後もこのような事は控えて欲しいです」
俺ははっきりと紹介を断り、さらに今後もしないように強い口調で伝えた。
『高坂さんの様な素敵な方にぴったりなー…』
「残念ですが、僕は素敵でも何でもないですし、相手の時間を台無しにしたくはないので」
溝口さんが食い下がろうとするけれど、俺は被せる様に伝える。
「相手の女性には俺からも伝えますので、連絡先を教えてもらえませんか?」
『はい…、かしこまりました。連絡先はー…』
「ありがとうございます」
俺は電話をガチャ切りして、相手の女性に連絡をする。
『はい…』
「突然の連絡ですいません。私は四つ葉出版社の高坂稔です」
『えっとー…』
「実は先日◯◯会社の溝口さんから招待状をいただきましてー…」
俺は招待状と同封された一筆箋の事を相手に話しをすると、向こうはとても驚いていた。なんだよ、相手にも話していないなんて、流石に無いだろう。
『私は何も聞かされてなくて、そういう事が起こっていたんですね』
「申し訳ございません。てっきり話が通っていたと思っていたんです」
『後ほど主催に絡んでいる父に話しますね。全く…人の時間をなんだと思っているのかしら』
「俺も同感です。でも貴重な時間を俺に費やすよりかは良いですし、俺もこういった紹介はもう勘弁ですね」
『あら?お相手がいらっしゃるんですね』
「ええ。“凄く大切な人”がいるので」
この言葉を言うのは何回目だろう…、一美の顔が浮かぶ。
「今日は突然の連絡で、お時間をいただきましてすいません」
『いいえ。“凄く大切な人”との時間を大切になさる方だと、電話口でも伝わりました』
「………ありがとうございます。では」
『ええ』
電話を終えて深く息を吐いて、これで良いし、一美に会いたいな。
スマホのメッセージで今夜会えるかどうか、聞いてみたら『良いわよ』と返ってきたので、会った時に今回の招待状の事を話そうと決めた。
「球宴の事で高坂さんと確認したい事があるから、ロビーで話をしたい」
「………良いよ〜。橘、30分だけ席を外すね」
「かしこまりました」
俺は仁と一緒に専務室を出て、階段を降りて1階についてロビーにあるソファに対面で座る。
「で、球宴の件じゃないんでしょ?」
「そう。招待状の件」
仁が昨日の事を切り出し、俺はふぅっと息を吐く。仁が専務室で招待状の事を言わずに球宴の事でって言うのが、仁らしいな。
「昨日も言ったけど、あんな可愛い一筆箋も一緒に送ってくるのってたちが悪い」
俺は足を組んで、ソファの背もたれに背中を預ける。
「相手はどんな人?」
「『紹介したい人』しか書いてないし、前にもさ、俺の親父に騙されて会食という名の実はお見合いでしたというパターンかもな」
「そんなパターンがあったんだ」
「あった。あの時ほど自分の親に対して怒ったことはない」
俺はうんざりしながらあの時の話す。
「稔のお父さんって相変わらずなんだ」
お父さん=社長だけど、今はプライベートな話題だから、呼び方が変わる。
「35も過ぎた息子の恋愛に絡んでくるなよって思う。俺には一美がいるのにさ。大体ー…」
「…………」
仁は黙って俺の愚痴を聞いてくれて、大分溜まっていた物を吐き出させてきた。
「俺ばかりでご免」
「別に。いつもならこういう見合い話は事後報告で終わるのに、今回は違うなって電話で伝わったから」
「そうなんだ。橘を待たせているし、仕事に戻ろうか。鷲尾さんの話、今度読ませてよ」
「ああ。グローブの話はかなり良いから、載せる」
ソファから立ってまた階段を上がって、3階の廊下で別れた。
専務室でパーティーの主催者に断りの連絡をしようと、橘には席を外して、廊下で待っていてもらうようにした。
俺は連絡先が書かれたメモを手に、スマホで番号を打ち込んで発信のボタンを押して、数コールで繋がった。
「ハジメマシテ、四つ葉出版社の高坂稔です」
『はじめまして、◯◯会社の溝口です。ご連絡をいただきまして、ありがとうございます』
「先日、招待状を受け取りました。そしてご紹介の件ですが」
『ありがとうございます!』
相手は嬉しそうにしているけどー…
「申し訳ございません。紹介は受けることは出来ませんし、今後もこのような事は控えて欲しいです」
俺ははっきりと紹介を断り、さらに今後もしないように強い口調で伝えた。
『高坂さんの様な素敵な方にぴったりなー…』
「残念ですが、僕は素敵でも何でもないですし、相手の時間を台無しにしたくはないので」
溝口さんが食い下がろうとするけれど、俺は被せる様に伝える。
「相手の女性には俺からも伝えますので、連絡先を教えてもらえませんか?」
『はい…、かしこまりました。連絡先はー…』
「ありがとうございます」
俺は電話をガチャ切りして、相手の女性に連絡をする。
『はい…』
「突然の連絡ですいません。私は四つ葉出版社の高坂稔です」
『えっとー…』
「実は先日◯◯会社の溝口さんから招待状をいただきましてー…」
俺は招待状と同封された一筆箋の事を相手に話しをすると、向こうはとても驚いていた。なんだよ、相手にも話していないなんて、流石に無いだろう。
『私は何も聞かされてなくて、そういう事が起こっていたんですね』
「申し訳ございません。てっきり話が通っていたと思っていたんです」
『後ほど主催に絡んでいる父に話しますね。全く…人の時間をなんだと思っているのかしら』
「俺も同感です。でも貴重な時間を俺に費やすよりかは良いですし、俺もこういった紹介はもう勘弁ですね」
『あら?お相手がいらっしゃるんですね』
「ええ。“凄く大切な人”がいるので」
この言葉を言うのは何回目だろう…、一美の顔が浮かぶ。
「今日は突然の連絡で、お時間をいただきましてすいません」
『いいえ。“凄く大切な人”との時間を大切になさる方だと、電話口でも伝わりました』
「………ありがとうございます。では」
『ええ』
電話を終えて深く息を吐いて、これで良いし、一美に会いたいな。
スマホのメッセージで今夜会えるかどうか、聞いてみたら『良いわよ』と返ってきたので、会った時に今回の招待状の事を話そうと決めた。