離れた後の恋の仕方
◆朝帰り…、しちゃう?
1日の仕事を終え、俺は愛車に乗り込んで久しぶりの1人ドライブを楽しむ。佐藤の事もあって、気分転換は必要だよな。
高速には乗らず、ひたすら街中を走り、ラジオをつければスピーカーから男性歌手の歌声が車内に響く。
バラード系だと運連中に眠くなりそうだから左手で素早くチャンネルを切り替えて、今度は洋楽で、明るめな曲調だし、これなら眠くならない。
スーツの内ポケットからスマホの着信音が流れたので、何処か停めれそうな場所…、あ、コンビニの看板が見えたのでそこに愛車を停め、エンジンを切ってスマホを取り出すと一美の名前だったので、即通話ボタンを押す。
「もしも〜し」
『今って大丈夫?』
「大丈夫だけど、どうした?」
『あのね、この前はお父さん達に会ったじゃない?』
「うん」
『あの後ね…、やっぱり私も稔のご両親にお会いしたいと思ったの』
一美の声が真剣で、俺はスマホを握っている手の力を強める。
「今から会える?」
『後10分で店番が終わるわ』
「そっちに行く頃には営業が終わるだろうから、向かう」
『………うん』
「後でね」
俺は自分から電話を切って助手席にスマホを投げてエンジンを入れ直し、アクセルを踏んで荒木不動産屋に向かい出した。
『稔のご両親にー…』って一美はそう言うけど、親父よりも母親が会ってくれるか…、自分の母親が5年前に一美に対して言った言葉は忘れる事は無い。ハンドルを握る両手の力がギュッと強くなって、下唇もギッと噛む。
街中を走行し続け、荒木不動産屋の近くに迫ると時間制の駐車場に駐車してエンジンを切って、運転席から降りて荒木不動産屋のドアを開けると一美とお母さんが居た。
「夜分にすいません。外で一美さんとお話をしても良いでしょうか?」
「良いけど、朝帰りだけは勘弁してよね」
「お母さんってば!私達はもう30過ぎた大人だし、少しはほっといてよ」
「貴女ねぇ。高坂君は男だし、親は娘が幾つになっても心配するものなの!!」
一美のお母さんの心配する気持ちは分かるし、俺の母親と大違いだと思い、苦笑する。
「朝帰りしないように心がけますが、そうなったらすいません」
「稔まで!も〜!!」
「ほら、話したい事があるんでしょ?行くよ」
「ねぇ、高坂君」
俺はムスッとしている一美の手をぎゅうっと強く握り、外へ行こうとするとお母さんに呼び止められた。
「はい」
「私は貴方のお義母さんは嫌いだけど、子供の事を想う気持ちは理解が出来るから、自分の親を嫌いにならないでね」
お母さんが俺の目を真っ直ぐ見ながら伝え、参ったなぁ…。
「お父さんにもですけど、時々お母さん達に育てて貰った一美さん達が羨ましいって思うときがあります」
「あら?もっと褒めても良いのよ」
お母さんが茶目っ気たっぷりとおどけるので、かなわないなぁ。
俺は一礼して一美と一緒に荒木不動産屋を出て行き、時間制の駐車場に行き、一美を助手席に乗らせて自分も運転席に座る。
「ここじゃ何だし、見晴らしの良い場所まで車を走らせるよ」
「ええ」
エンジンをかけてアクセルを踏み、駐車場から出て暗い道路をひたすら走行し、一旦高速道路のレーンに乗って、また走行し続ける。
「次に見えるサービスエリアで停めるよ」
「分かったわ」
高速道路を走り抜け、サービスエリアの看板が見えたのでハンドルを切ってエリア内に入り、空いているスペースに駐車した。
「ご飯…というよりも先に降りて、休憩スペースに行く?」
「休憩スペースより、あの2階のテラスが良いわ」
一美が指で指す部分に視線を向けると、エリア内にある建物のテラスは見晴らしが良さそうだし、誰かに聞かれる事もなさそうだからいいかも。
俺達は車から降りて建物に入り、階段で2階のテラスに向かい、時間が時間だからテラスの場所は俺達しかいない。テラスのベンチに座り、一美は俺の右隣に座った。
「話しだけど、さっきの電話の続きって事でいい?」
「うん…、稔が私のお父さん達に筋を通したいって言ったでしょ?だから次は私だなって」
一美はそう言うけど…、俺は自分の母親が未だに心を許せない所がある。
「俺の母親が一美に言った言葉、今でも許せないけど、一美は良いの?」
「そこを乗り越えていかないと、稔だってそう思うでしょ?」
「そう…、だけど」
母親が“凄く大切な人”に向かって言った言葉が今でも鮮明に覚えているし、忘れるわけがない。
「『貴方は稔に…、高坂家に相応しくない』ってさ、ドラマの台詞かよって」
この言葉と一美に向けた能面の様な表情が脳裏にべったりと焼き付いている。
「私も覚えてるし、時々テレビで流れるドラマで似たようなシーンを観るたびに、あの時とダブってるわって思うわよ」
一美のお父さんの『2人で乗り越えなさい』の言葉がよぎり、一美も俺の親に向き合おうとしていて、後は俺次第だな…、うんー…。
テラスに風が吹き、一美の綺麗な髪が揺れ、俺は流れる髪の毛に自分の指を絡ませる。
「ねぇ、一美」
「ん〜?」
「仁に託しているノルマ残り2ヶ月…それが終わったら、俺の両親に会いに行こう」
「うん…」
俺は一美の髪の毛に絡ませた指を離して、一美の後頭部に手を回してグイッと自分の顔に近づかせると、お互い瞼を閉じて唇を重ねた。
親がどんな風に一美に言ってきてももう5年前の俺達じゃないし、離れる事はないことを伝えなくちゃ。
少し唇が離れてもすぐ磁石のように唇がくっつき、あ~まずいな。ぷはっと唇を離して、視線を一美に合わせてそらされないにように両手で頬を優しく包む。
「朝帰り…、しても良い?」
「大人だし、良いんじゃない?」
「だね」
軽く一美の唇にキスをして、右手で一美の腕をグイッと引っ張ってベンチから立って、足早に2階のテラスから駐車場に向かい、愛車に乗り込んでエンジンをかけ、朝帰りをする為に走り出した。
高速には乗らず、ひたすら街中を走り、ラジオをつければスピーカーから男性歌手の歌声が車内に響く。
バラード系だと運連中に眠くなりそうだから左手で素早くチャンネルを切り替えて、今度は洋楽で、明るめな曲調だし、これなら眠くならない。
スーツの内ポケットからスマホの着信音が流れたので、何処か停めれそうな場所…、あ、コンビニの看板が見えたのでそこに愛車を停め、エンジンを切ってスマホを取り出すと一美の名前だったので、即通話ボタンを押す。
「もしも〜し」
『今って大丈夫?』
「大丈夫だけど、どうした?」
『あのね、この前はお父さん達に会ったじゃない?』
「うん」
『あの後ね…、やっぱり私も稔のご両親にお会いしたいと思ったの』
一美の声が真剣で、俺はスマホを握っている手の力を強める。
「今から会える?」
『後10分で店番が終わるわ』
「そっちに行く頃には営業が終わるだろうから、向かう」
『………うん』
「後でね」
俺は自分から電話を切って助手席にスマホを投げてエンジンを入れ直し、アクセルを踏んで荒木不動産屋に向かい出した。
『稔のご両親にー…』って一美はそう言うけど、親父よりも母親が会ってくれるか…、自分の母親が5年前に一美に対して言った言葉は忘れる事は無い。ハンドルを握る両手の力がギュッと強くなって、下唇もギッと噛む。
街中を走行し続け、荒木不動産屋の近くに迫ると時間制の駐車場に駐車してエンジンを切って、運転席から降りて荒木不動産屋のドアを開けると一美とお母さんが居た。
「夜分にすいません。外で一美さんとお話をしても良いでしょうか?」
「良いけど、朝帰りだけは勘弁してよね」
「お母さんってば!私達はもう30過ぎた大人だし、少しはほっといてよ」
「貴女ねぇ。高坂君は男だし、親は娘が幾つになっても心配するものなの!!」
一美のお母さんの心配する気持ちは分かるし、俺の母親と大違いだと思い、苦笑する。
「朝帰りしないように心がけますが、そうなったらすいません」
「稔まで!も〜!!」
「ほら、話したい事があるんでしょ?行くよ」
「ねぇ、高坂君」
俺はムスッとしている一美の手をぎゅうっと強く握り、外へ行こうとするとお母さんに呼び止められた。
「はい」
「私は貴方のお義母さんは嫌いだけど、子供の事を想う気持ちは理解が出来るから、自分の親を嫌いにならないでね」
お母さんが俺の目を真っ直ぐ見ながら伝え、参ったなぁ…。
「お父さんにもですけど、時々お母さん達に育てて貰った一美さん達が羨ましいって思うときがあります」
「あら?もっと褒めても良いのよ」
お母さんが茶目っ気たっぷりとおどけるので、かなわないなぁ。
俺は一礼して一美と一緒に荒木不動産屋を出て行き、時間制の駐車場に行き、一美を助手席に乗らせて自分も運転席に座る。
「ここじゃ何だし、見晴らしの良い場所まで車を走らせるよ」
「ええ」
エンジンをかけてアクセルを踏み、駐車場から出て暗い道路をひたすら走行し、一旦高速道路のレーンに乗って、また走行し続ける。
「次に見えるサービスエリアで停めるよ」
「分かったわ」
高速道路を走り抜け、サービスエリアの看板が見えたのでハンドルを切ってエリア内に入り、空いているスペースに駐車した。
「ご飯…というよりも先に降りて、休憩スペースに行く?」
「休憩スペースより、あの2階のテラスが良いわ」
一美が指で指す部分に視線を向けると、エリア内にある建物のテラスは見晴らしが良さそうだし、誰かに聞かれる事もなさそうだからいいかも。
俺達は車から降りて建物に入り、階段で2階のテラスに向かい、時間が時間だからテラスの場所は俺達しかいない。テラスのベンチに座り、一美は俺の右隣に座った。
「話しだけど、さっきの電話の続きって事でいい?」
「うん…、稔が私のお父さん達に筋を通したいって言ったでしょ?だから次は私だなって」
一美はそう言うけど…、俺は自分の母親が未だに心を許せない所がある。
「俺の母親が一美に言った言葉、今でも許せないけど、一美は良いの?」
「そこを乗り越えていかないと、稔だってそう思うでしょ?」
「そう…、だけど」
母親が“凄く大切な人”に向かって言った言葉が今でも鮮明に覚えているし、忘れるわけがない。
「『貴方は稔に…、高坂家に相応しくない』ってさ、ドラマの台詞かよって」
この言葉と一美に向けた能面の様な表情が脳裏にべったりと焼き付いている。
「私も覚えてるし、時々テレビで流れるドラマで似たようなシーンを観るたびに、あの時とダブってるわって思うわよ」
一美のお父さんの『2人で乗り越えなさい』の言葉がよぎり、一美も俺の親に向き合おうとしていて、後は俺次第だな…、うんー…。
テラスに風が吹き、一美の綺麗な髪が揺れ、俺は流れる髪の毛に自分の指を絡ませる。
「ねぇ、一美」
「ん〜?」
「仁に託しているノルマ残り2ヶ月…それが終わったら、俺の両親に会いに行こう」
「うん…」
俺は一美の髪の毛に絡ませた指を離して、一美の後頭部に手を回してグイッと自分の顔に近づかせると、お互い瞼を閉じて唇を重ねた。
親がどんな風に一美に言ってきてももう5年前の俺達じゃないし、離れる事はないことを伝えなくちゃ。
少し唇が離れてもすぐ磁石のように唇がくっつき、あ~まずいな。ぷはっと唇を離して、視線を一美に合わせてそらされないにように両手で頬を優しく包む。
「朝帰り…、しても良い?」
「大人だし、良いんじゃない?」
「だね」
軽く一美の唇にキスをして、右手で一美の腕をグイッと引っ張ってベンチから立って、足早に2階のテラスから駐車場に向かい、愛車に乗り込んでエンジンをかけ、朝帰りをする為に走り出した。