離れた後の恋の仕方
お昼をすませ、午後も頭の固いおっさん達のつまらない会議に参加し、あっという間に定時になり、橘を上がらせて、専務室に俺だけになる。
帰っても母親の小言がありそうだし、もつ煮の店に行ってそこで夕飯にしようと決めて荷物を纏め始めたらスマホが鳴り、画面を見ると後藤からだったので通話ボタンを押して耳に当てた。
「もしも〜し」
『高坂君?パーティーに参加してくれてありがとう』
「頑張っている所を見れて良かったよ。大学の同期で出版業界に進んだのって、後藤と俺だけだし」
『うん。ここまで来るのが長かったけど、いつも高坂君が話を聞いてくれたからだよ』
「いっぱい褒めてよ。うちの社員っていっつも俺に怒ってくるからなぁ〜」
ふといつも怒っている姫川の顔が浮かぶ。
『それは高坂君のせいじゃない?』
「バレた?というか、話はそれだけ?」
『あー…、パーティーの時さ、うちのモデルの事で嫌な思いをさせてご免と言いたくて』
後藤が申し訳ない様な声で言うけど、その事か。
「気にしてないよってのは嘘になるし、俺の隣は決まっているからね」
『もしかして、いつも話に出てくる“凄く大切な人”?』
「そう。この間さ、5年ぶりに会いに行って、復縁したいことを伝えたら、分厚い綴じファイルで一発お見舞いされた」
後藤は電話口のスピーカーから漏れるくらい大きく笑う。
『あー、久しぶりに笑った』
「笑いすぎだって。マジで痛いし」
『でも高坂君のことだから避けなかったんでしょ?』
「よくおわかりで。という事で今後のお誘いは女性は無しでね。後藤なら分かるでしょ?」
『勿論。今度橘を交えて男同士で飲もうよ。あ、医師になった兵藤も誘ってさ』
「良いね。後藤にはうちのファッション部の編集長である水瀬も別件で会わせるよ。きっと水瀬にも良い刺激を受けると思うし」
『良いよ。高坂君の人選は間違いないし、会えるのを楽しみにしてる』
後藤との通話を終え、専務室を出た。
四つ葉を出てもつ煮の店に1人で行き、カウンター席に座って、もつ煮や惣菜、白米を頼んで1人の食事を愉しむ。
そういえば学生時代は一美も俺と食事をする時は洒落たレストランよりもこうした店に行ったりしていて、懐かしい。
『稔がこういうお店の雰囲気が好きって、私も好きよ。あ、枝豆を2人分くださーい』
俺の隣は今は空席だけど、一美が座っていたら2人でデカいジョッキをぶつけて飲んでいるだろうな。
何だか一美の声を聞きたくなって、スマホを出して連絡先一覧表から一美の番号を表示させ、出てくれるだろうか?
このボタンを押したらー…、ドン!ー…、背中に何かがぶつかって、その拍子に発信がスタートして、ヤベっ。
『もしも〜し』
スマホの声が聞こえる部分から一美の声が聞こえたので、慌てて席を立って店の外に出て、俺もスマホに耳を当てる。
「よ…、よぉ」
『どうしたの?』
この前は目の前で会えて、今日は5年ぶりに電話のやり取りをするな。
「どうしてるかなって」
うわ、ありきたりというか、もうちょっと気を利かせた言葉を言えよって自分に突っ込む。
『そうねぇ。営業が終わって、三斗が作った夕飯を食べてる』
「食事中にご免」
『ううん。電話、嬉しいわ。そっちこそ専務のお仕事はどうなのよ』
「頭の固いおっさん達や姫川に毎日怒られてばかりだよ」
『それは稔が悪いんでしょ?』
「まぁね」
他愛もない話とかで嬉しい自分がいて、俺って案外単純だな。
「今日さ、久しぶりに後藤にあった」
『わぁ、元気そうにしてた?』
「めっちゃ元気だった。新しい雑誌の編集長になってさ、俺もいい刺激を貰えたよ。今度水瀬に会わせようと思う」
『良いんじゃない?水瀬君もいい刺激になるかもね』
「俺と同じ意見だな」
お互い電話口で笑う。
俺はお店に戻って会計すませ、また外に出て話しやすい静かな道に来た。
『仁も頑張っている?』
「ああ。姫川も、編集長3人組はいつもすげぇ頑張ってくれている」
『仁は四つ葉の話はしないから、稔がそう言うなら頑張っているってことね』
「うん。俺の無茶振りで発行しようとした季刊があってさ、そりゃもう編集長3人組はー…」
5年ぶりの電話なのに毎日電話をしているんじゃないかって位の間柄になり、この日は一美との電話を存分に楽しんだ。
帰っても母親の小言がありそうだし、もつ煮の店に行ってそこで夕飯にしようと決めて荷物を纏め始めたらスマホが鳴り、画面を見ると後藤からだったので通話ボタンを押して耳に当てた。
「もしも〜し」
『高坂君?パーティーに参加してくれてありがとう』
「頑張っている所を見れて良かったよ。大学の同期で出版業界に進んだのって、後藤と俺だけだし」
『うん。ここまで来るのが長かったけど、いつも高坂君が話を聞いてくれたからだよ』
「いっぱい褒めてよ。うちの社員っていっつも俺に怒ってくるからなぁ〜」
ふといつも怒っている姫川の顔が浮かぶ。
『それは高坂君のせいじゃない?』
「バレた?というか、話はそれだけ?」
『あー…、パーティーの時さ、うちのモデルの事で嫌な思いをさせてご免と言いたくて』
後藤が申し訳ない様な声で言うけど、その事か。
「気にしてないよってのは嘘になるし、俺の隣は決まっているからね」
『もしかして、いつも話に出てくる“凄く大切な人”?』
「そう。この間さ、5年ぶりに会いに行って、復縁したいことを伝えたら、分厚い綴じファイルで一発お見舞いされた」
後藤は電話口のスピーカーから漏れるくらい大きく笑う。
『あー、久しぶりに笑った』
「笑いすぎだって。マジで痛いし」
『でも高坂君のことだから避けなかったんでしょ?』
「よくおわかりで。という事で今後のお誘いは女性は無しでね。後藤なら分かるでしょ?」
『勿論。今度橘を交えて男同士で飲もうよ。あ、医師になった兵藤も誘ってさ』
「良いね。後藤にはうちのファッション部の編集長である水瀬も別件で会わせるよ。きっと水瀬にも良い刺激を受けると思うし」
『良いよ。高坂君の人選は間違いないし、会えるのを楽しみにしてる』
後藤との通話を終え、専務室を出た。
四つ葉を出てもつ煮の店に1人で行き、カウンター席に座って、もつ煮や惣菜、白米を頼んで1人の食事を愉しむ。
そういえば学生時代は一美も俺と食事をする時は洒落たレストランよりもこうした店に行ったりしていて、懐かしい。
『稔がこういうお店の雰囲気が好きって、私も好きよ。あ、枝豆を2人分くださーい』
俺の隣は今は空席だけど、一美が座っていたら2人でデカいジョッキをぶつけて飲んでいるだろうな。
何だか一美の声を聞きたくなって、スマホを出して連絡先一覧表から一美の番号を表示させ、出てくれるだろうか?
このボタンを押したらー…、ドン!ー…、背中に何かがぶつかって、その拍子に発信がスタートして、ヤベっ。
『もしも〜し』
スマホの声が聞こえる部分から一美の声が聞こえたので、慌てて席を立って店の外に出て、俺もスマホに耳を当てる。
「よ…、よぉ」
『どうしたの?』
この前は目の前で会えて、今日は5年ぶりに電話のやり取りをするな。
「どうしてるかなって」
うわ、ありきたりというか、もうちょっと気を利かせた言葉を言えよって自分に突っ込む。
『そうねぇ。営業が終わって、三斗が作った夕飯を食べてる』
「食事中にご免」
『ううん。電話、嬉しいわ。そっちこそ専務のお仕事はどうなのよ』
「頭の固いおっさん達や姫川に毎日怒られてばかりだよ」
『それは稔が悪いんでしょ?』
「まぁね」
他愛もない話とかで嬉しい自分がいて、俺って案外単純だな。
「今日さ、久しぶりに後藤にあった」
『わぁ、元気そうにしてた?』
「めっちゃ元気だった。新しい雑誌の編集長になってさ、俺もいい刺激を貰えたよ。今度水瀬に会わせようと思う」
『良いんじゃない?水瀬君もいい刺激になるかもね』
「俺と同じ意見だな」
お互い電話口で笑う。
俺はお店に戻って会計すませ、また外に出て話しやすい静かな道に来た。
『仁も頑張っている?』
「ああ。姫川も、編集長3人組はいつもすげぇ頑張ってくれている」
『仁は四つ葉の話はしないから、稔がそう言うなら頑張っているってことね』
「うん。俺の無茶振りで発行しようとした季刊があってさ、そりゃもう編集長3人組はー…」
5年ぶりの電話なのに毎日電話をしているんじゃないかって位の間柄になり、この日は一美との電話を存分に楽しんだ。