陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
善「朝までずっといてくれたから、おかげで元気になったよ」
「良かった。…朝まで?え、今何時?」
ベットのすぐ横にあった時計を見ると、六時。お風呂から上がって善くんの部屋に来たのは、確か夜十時だった。きっちり八時間睡眠をとっていた。
「あぁ…、櫂くんに謝ろうとしたのに」
善「櫂ならキッチンにいると思うけど」
すっかり頭も冴えて、〝せっかく起き抜けを襲おうと思ったのに…〟という善くんの声が耳に届く前に、キッチンに走った。
勢いをつけてキッチンに入ると、焼いた食パンを立ったまま齧る櫂くんと目が合った。私だと分かると目を逸らされる。
「おはよう…」
櫂「おん」
「…昨日は、ごめんね。電話出れなくて」
持っていたパンを置いて、寝癖と眉間にしわをつけた、起き抜けの不機嫌さを見事に演出させた姿で、私を睨んだ。
櫂「別に電話に出なかったことを怒ってるわけじゃないから」
「…悠馬さんのこと」
櫂「灯早は、悠馬が入る家のこと、知らないから。だからあんな、甘い考えができるんだよ」
「じゃあ教えてよ」
また喧嘩腰の言い方をしてしまい口を噤むと、〝俺には関係ないから〟と置いていたパンを持って、私の横を通り過ぎていく。昨日みたいに肩がぶつかって、避けられてしまった。どんどん心の距離が遠くなっていく。
大学に行っても、体調が戻った善くんは相変わらず構わぬ顔で私の近くの席に座ってきて、私の隣に座る玲奈も善くんとにこやかに談笑。櫂くんは私の前の席に座るのに、会話はなくて私と櫂くんの間だけ、空気が重い。