陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
「だって…」
櫂「だって?」
「…何もないです」
櫂「よろしい」
黙る私に満足した櫂くんが、頭にかかったバスタオルで髪をガシガシと拭いてくれる。その手が優しすぎて、じわっと目頭が熱くなる。
「何で優しくしてくれるの。ずっと無視してたじゃん」
櫂「優しくしてないし、無視してねぇよ。風邪引かれたら誰が面倒見んのって話」
「…櫂くん」
櫂「俺は見ない。そんな暇じゃないし」
拭いてくれていた手を止めて、タオルの隙間から私の両頬を片手でムニュッと掴んできた。
「にゃに…」
櫂「俺に言うことあるだろ」
「…ごめんにゃしゃい」
ふっと笑うと頬の手が離れた。何ヶ月かぶりに見た、櫂くんの笑顔。胸がザワっと音を立てた。
「ムキになって、色々言いすぎました」
櫂「灯早は、頑固だからな。自分が納得しないと、ダメって言ってもやめなかったし」
「…おっしゃる通りです」
櫂「悠馬の家は特殊だから。大変だろうけど、俺らが入っていい領域じゃない」
今なら素直に頷ける。気づくのが遅すぎたけど。マグカップに口をつけると、冷めていたけど甘いレモンティーが身に沁みた。
櫂「水かけられたの、びっくりしただろ」
「うん…。まさかバケツ投げられると思わなかった」
櫂「は?バケツを?投げられた?」
「そうだよ」
櫂「めっちゃ恨まれてるじゃん(笑)」
私の受けた仕打ちの詳細を知ると、涙を流すほど大笑いした櫂くん。笑い事じゃないと怒ったけど、思い切り笑ってくれる櫂くんを見ていたら、私まで笑えてきて、久しぶりに心の濁りを晴らすことができた。