陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
「…おかえりなさい」
返事が来ず、しゃがんだまま後ろを振り返ると、眉間に皺を寄せて私をじっと見ていて、何も言わずに近づいてくる。すぐ隣でしゃがみ込むと、土まみれの私を突然抱きしめてきた。
「悠、馬さん?」
悠「ごめん。黙って抱きしめられてて」
「…はい」
オールバックに眉間の皺。怖い雰囲気にはもう慣れた。でもこの状況は初めてで、どうしたら良いか分からず、言われるまま黙って、土まみれの手が悠馬さんの服に付かないように空中に浮かす。
時々鼻を啜るのが聞こえたので、腕を背中に伸ばして、土があまりついていない小指側の手の甲で、あやすように叩いてみた。抱きしめられる力が強くなり、背中側で弱々しい声が聞こえた。
悠「結婚したくない。好きでもないのに、未来のためだって言われたら、逆らえないじゃん」
「そう…、ですね」
ついに、悠馬さんの本音が漏れた。好きという感情は抜きにして相手に添い遂げる、それが政略結婚だけど、この間私にバケツを投げてきた人は、本当に悠馬さんのことが好きなんだと思う。
その気持ちは、悠馬さんも分かっているはず。だからこそ、その上での結婚は辛い。
悠「俺、灯早ちゃんが良い」
「…私は、どう返事したら」
悠「返事しなくて良いよ。困らせるの、分かってて言ったから」