陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
離れると、頬に涙が流れた跡を付けて、目も赤くなっている悠馬さん。どんな顔をして悠馬さんを見て良いか分からなくて、唇をギュッと噤む。
涙は拭ってあげても良いよね。手には土が付いているから、袖を伸ばして袖の先で涙を拭いた。
悠「灯早ちゃん」
「何ですか?」
悠「今だけ…、一瞬だけ。灯早ちゃんに、キスして良い?」
「え、それは…」
付き合っている人は居ないから、そこに関して後ろめたさはない。ただ今になって、私も悠馬さんもどこから誰に見られているか分からないし、悠馬さんが落ち着くまでは警戒しないと。
「悠馬さん…、お相手が居っ、」
悠「うるせぇ。そんなの知ってる。知ってて言ってるの、分かってるよね?」
手で口を覆われ、黙るとちょいワルな悠馬さんがこちらを睨む。拒否しないといけないのに、どこから私の願望が湧き出てきたのか、頭が縦に振れた。悠馬さんの手が離れると、今度は唇が近づく。
悠「好きだったよ、灯早ちゃん…」
あぁ、触れてしまう。逃げないと。頭だけでそんなことを考えて、行動は全く伴っていなかった。ゆっくりと優しく触れた唇。涙で濡れていて、しょっぱかった。
好き〝だった〟。過去になった言葉は、私の心臓に深く刺さり、返しのついた棘が抜けずに、傷を抉った。
名残惜しく離れると、〝はぁ…〟と深いため息が聞こえて、目を開ける。俯いていて悠馬さんの表情が見えず、かける言葉が見つからない。