陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
でも今日は一緒に行く相手が、櫂くん。良い思い出として、上書きできそうな気がする。お母さんに連れて行ってもらった時に、本当にしたかったこと。射的をしてかき氷を食べて、花火を見る。人混みをかき分ける目の前の大きな背中に、全部できると良いなとテレパシーを送った。
「あ、あのぬいぐるみ欲しい!」
櫂「ぬいぐるみ?ねこの?」
「そう!絶対取る」
運動神経の悪さが際立ってしまい、意気込んだのも束の間、一発も当たらずに終了。櫂くんなら取ってくれるだろうと期待して、本人も当てて当たり前みたいな顔で澄ましていたのに、何故か二人とも手ぶら。
「ここは取ってくれなきゃ。取って、かっこいいー!でしょ?」
櫂「俺を都合の良いヒーロー扱いするなよ」
露店の賑わいには似合わない不機嫌さに、吹き出すように笑ってしまった。櫂くんの苦手なことを知れたから、今日は不機嫌でも楽しい。
「ねぇ櫂くん、かき氷食べたい」
櫂「良いけど。ちゃんと飯も食えよ」
「お母さんみたいなこと言わないでよ。ここ来たら、かき氷食べるって決めてたの」
文句を言いながらも買ってくれた、赤色のかき氷。櫂くんはもう一つ行きたい店があるらしく、人通りの少ないところで座って待ってろと、またお母さんみたいなことを言って離れていった。
言われた通り、人混みから少し離れた大きな石に座って、かき氷を食べて待つ。着慣れない浴衣は堅苦しくて暑いけど、甘くて冷たいものが喉を通れば、すーっと冷めていく。