陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
大きな石に座り直して、地に届かない足をだらんとさせて、かき氷をまた一口食べた。櫂くんはパックを開けて焼きそばを食べ始め、気まずさを残すように無言の時間が続いた。
櫂「美味っ。灯早、かき氷と交換」
「うん。ありがと」
数十秒経って、独り言のように私に話しかけてきた櫂くん。焼きそばを飲み込むと、聞きにくそうにもごもごと聞いてきた。
櫂「さっき、どこ行こうとしてたの」
「…お母さんがいた気がして。多分いないんだけどね。期待したのかも」
櫂「母ちゃんに会いたかった?」
「会いたかったのかな。お母さんとの思い出で、あんまり良かったことはないけど。ここにも来たことあって、気遣って好きでもないもの好きとか言って、疲れた記憶しかない」
思い出すだけで、肩にのしかかってくる圧。せっかくの楽しい雰囲気を壊しかけて、立て直そうとすると櫂くんが口を開いた。
櫂「ふーん…。灯早も母ちゃんと色々あったんだな」
「え?」
櫂「俺は小さい時からいないから、母ちゃんに対して寂しいとか思ったことないけど」
「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃないの」
櫂「あ、いや。そういうわけじゃなくてさ。家族でも言えないことってあるんだなって」
家族じゃないから言える他人の有り難さもあれば、家族にしか言えない信頼感もあって、それを使い分けできる相手が多いほど、きっと考えの選択肢が広がる。
私の場合は、その選択肢が極端に少なかった。言いたいけど言えなくて、発散できる場所がなかったけどお母さんに縋るしかなくて。でも本当のことは全部言えなくて。