陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
解けないくらい強い力で握り直し、引き寄せられる。腕がくっつくほど近づき、離れようとしたのに許してもらえず、またくっついた。
夕方になって蒸し暑さはおさまったものの、密度が増すと汗ばむほど。でも櫂くんと繋いだ手は、蒸し暑さなんて関係ない。安心感と高揚が入り混じった、そんな空間。
「…ありがとう。花火も、ずっと行ってみたかったの。連れてきてもらえて嬉しい」
少しだけ握られた手に、私も力を込めてみた。すると突然立ち止まり、覗き込むようにして私をまじまじと見てくる。
「え、何…」
櫂「策士だな」
「は?」
櫂「そんな技術、誰に教えてもらったの。…悠馬か」
〝キスまで教え込まれてたしな…〟とブツブツ言い出し、櫂くんの目が私の唇を捉えた。その視線の動きの中にある色気に、ドクンと心臓が跳ねる。
「何言ってんの」
櫂「悠馬より俺の方が、キス上手いかもよ。試してみる?」
覗き込まれた近い距離のまま、じりじりと迫ってくる。思わず顔を背けた。
「試さない!早く行こ!」
櫂「はいはい」
何もなかったみたいに呆気なく距離を取って、私の手を引いて歩き出す。危なかった。私が逃げていなかったら、キスされてた。簡単にキスされるなって怒った本人が、簡単に私にキスしようとするなんて。
「そういう櫂くんこそ、策士なんじゃん」
鼻歌混じりの陽気な声にひと睨みをきかせて、穴場に足を進めた。会場からは離れて、浴衣を着た人も人さえもいないこぢんまりとした公園に着くと、足を止めた櫂くん。