八年越しの初恋、回収します。〜私のトリコになった部下に、八年前から溺愛されています〜




「苗字は朝倉に変えるんですか?」

三田さんにそう訊ねられた。

「このスピード結婚、もしかして妊娠したんですか?」

水谷さんが、よからぬ想像をして口元を押さえた。

「どちらもないわよ。安心して」

私は、もう怒る気力もない。
きっと、これが私のチームの定番のやり取りなのだと気がついたからだ。

「結婚の保証人なんて初めてでしたー。私の結婚のときは、お願いしますからね」

三田さんが、夢見る少女のように目を輝かせる。

「牧野さん、大役を務めた俺たちに、お礼なんていらないですから」

水谷さんの、わかりやすいおねだりをいただいた。
私は全身の力が抜ける。

「わかったわよ。今日のランチをおごります」

「やったー。でも、朝倉くんは一日、外回りなんですよね。牧野さんから一日中離れるなんて、珍しいですね」
「三田さん、野暮だな。一緒に暮らしているんだよ。夜は一緒だから安心しているんだよ」


「「そこまで!! 仕事に集中!!」」


結局、緩みっぱなしになって仕事にならない。
このチームには、ムチが必須なのかもしれない。

三田さんが指摘した通り、今日の朝倉くんは外回りからの直帰だった。
私はそっと彼のデスクに視線を移す。

今日も見事に整理整頓されている。

彼の思考は、常にいくつもタスクを抱えていても、瞬時に優先順位をつけて処理していくのだろう。

(今日は何を……)

いつも私にくっついている彼が離れている。

何か企んでいるのではないかと、心配にもなった。






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