偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

新しい生活


榊さんと百合子のデート現場を見てからショックも大きかったが、
忙しかったのもあり、あまり考えなくて済むようになった。

すぐにバイトを辞めさせてもらえたおかげで、
すぐに中山さんの会社に就職することができ、仕事を覚えることで精一杯だった。

榊さんからは何度かメッセージがあったが、『忙しいのでまた連絡します。』と何度か返信した。

転職したばかりということもあってか、
そんなそっけない返事でもあまり気にされていないようだった。

ーでもずっとこのままじゃいけないよな…

私はいつ榊さんと百合子に会いに行こう、
ただまだまだ2人のことをお祝いする気持ちになれなそうで、
どんどん暗い気持ちになっていたのを、
振り切るよう仕事に励んだ。

金曜日の夜、
私の歓迎会として、
職場のみなさんとレストランに来ていた。

ーここは前榊さんと行ったレストランの近くだな。

最初お見合い行ったとき、
次に食事したときと同じレストランをみて、
また榊さんを思い出してしまった。

「ではここで、ありがとうございました。」

他のみんなは二次会も行くとのことだったが、そんな気分にもなれず、
自分だけ解散させてもらった。

榊さんと行ったレストランの前を通るのは気が引けたが、
通らないと帰れないため早歩きで通った。

「楓さん?」

聞きなれた声がして振り返ると、
榊さんとおそらく榊さんの会社の人たちが数人いた。

会社の人たちは美容系ということもあり、とても綺麗な人ばかりだったが、
私のことを見て、誰?という顔でジロジロ見られた。

ーもしかすると榊さんのことが好きなのかもしれない。

おそらく榊さんは会社でももてるだろう。

私は早くその場から立ち去りたく、
「偶然ですね。では、私は今帰るところなので…」と言って早歩きでその場を後にした。

榊さんは、何か声をかけようとしてくれたが、
他の会社の人たちに話し掛けられて、
すぐにレストランに入っていった。

ーおかしくなかったよね?
会社の人たちいたし、私のことなんて気にしてないかな…

そう思って、そのまま早歩きで家に帰った。
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