偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
素っ気ない態度にショックを受けていたが、やはり聞かないとわからない。
ー私の勘違いならいいんだけど…
「楓は悪くないんだ…」
榊さんがまた手で顔を隠した。
ー私がお風呂に入ったら、
あんまりその先のことをする気持ちになれなくなったのかな?
こんなダボダボなスウェットじゃあ、
ドキドキしないのかもしれない。
でも、そんなこと言いづらいのかな…
「私…帰った方がいいですか?」
榊さんもそんなこと言いづらいだろう。
先ほどとは違い、笑顔で問いかけた。
ちゃんとした笑顔になっているかわからないけど…
「それはない」
榊さんが真剣な表情で見つめてきた。
「俺…余裕なくて。心配させてごめん。
その…楓がかわいくて、
直視するともっと我慢できなくなりそうだったから」
「え?」
想像と違う返事で驚いた。
ーこんなダボダボなスウェットなのに?
「そもそも、『帰りたくない』って言われたのも可愛すぎて。
俺のスウェット着ても大きすぎるのも可愛い。俺と同じ匂いがするのも…たまらなくて」
榊さんが顔を真っ赤にして、
でも目を反らさずに話してくれる。
「本当は…ベッドまでに自分の気持ちを落ち着けるためにも、楓の方を見ないようにしていたんだ。
それでも落ち着かなかったんだけど。」
榊さんが苦笑いしながら、
私の髪を撫でてくれる。
「俺、本当に帰らせてあげられなくなっちゃうけど、大丈夫?」
先ほども聞かれたが、
もう一度確認された。
「はい!」
私は力強く返事して、榊さんに抱き付いた。
ちょっとでも私の気持ちを信じて欲しくて。
榊さんはビクッと体を震えさせた後、
私の体をヒョイっとお姫様抱っこして、
寝室に連れていった。